名古屋市博物館から月僊図録と是旃陀羅~ぜせんだら~

猛暑継続中ながら風が本堂と庫裏の間を吹き抜けて案外と心地よく感じました。14時からの法要でした。

施主の経営する店舗では多くの従業員(20人弱)を抱えているとのことで、私はその経営の妙について「何から何まで大変な世になりました」と伺いました。

 

というのは人件費の高騰、また物品の販売とサービスはネットと大手資本の力ずくに押されて、個人経営における継続性将来に大いなる疑義が生まれつつ世であると感じているからです。お寺もそうですからね。

 

今年は県内の新聞社数社の夕刊の配達が休止になる旨のお達しがありましたが、そこで考えるのは「配達の方はどうなるのだろう・・・」です。

就労が喪失するということですから、仕事を新たに探さねばならない人が増えるということでしょう。仕事などそうは見つかりませんからね。

新聞配達といえば年配の方たちの就労が思いあたるところですが、その件を考えればやるせない気持ちでいっぱいです。

ネット全盛の時代、新聞の読者が減っていることは察していますが・・・。

 

昨日も一昨日の朝刊一面をアップしましたが、あの手の政治屋の方向性から今の不合理のすべてが理解できるわけで。

その手の事を挙げていれば枚挙に暇がありませんが、ETCが出た時は「便利になった」とは思ったものの、「料金所のおじさん」はどうなるのだろう・・・ファミレスでは端末で注文、ネコロボットが給仕~・・・セルフ給油所が増えメカは不在~・・・無人新幹線ができて~・・・と人を使わないでイイといったシステムが大きく「躍進」してきました。

「新幹線の運転手になりたい」などいう子供がいたことを記憶にしていますがそれはもうナイということなのですね。

 

人を雇わなくていいのですから経営者側からすれば人件費は不要であり、利益はUp。配慮すべきは機械のメンテだけ。機械は文句を言いませんからね。

政治は「給与を上げよ」と態のイイ旗を振りますが、会社経営側は「それなら人減らし」に走ろうとするのは当然の流れでしょう。

 

そんな中、私から最近のエピソードを一つお示ししました。

先般軽トラの中古車を新たに求めたことを記していましたが、その軽トラにて本堂障子用の材木を吉田方面に購入に走りました。そのついでに「スペアキーを」と奥方より提案があり私も合点。

 

その窓口に行くと専門らしき若い従業員が登場したのでしたが最初にまずマニュアル本らしき書籍を一読し例の如くのグラインダーでキーを切削。

20分ほど「長いなぁ~」と奥方と顔を見合わせて待ちました。すると一応「車まで」とドアとエンジン始動をチェックに同行。

ところがエンジンどころかドアも開きません。

それから10分以上再挑戦されていましたが、失敗。元キーは「2本しか在庫がない」ということで双方無駄な時間となったわけです。

 

そこで奥方に提案、相良本通りには鍵の専門店(旧長野金物店)がある・・・でした。

そちらは店主の弟が私と中学の同級で当時はちょくちょく出入りした家です。

というワケでそちらにお邪魔すると難なく1分で仕上げていました。それでいて料金はたったの500円也。まさに熟練の妙でした。

 

何でもかんでも揃う量販店ですが、多くの店員を配しているものの、技量のある熟練の店員はいなかったということ。ハナから自宅に近いそちらにお願いしていれば・・・

 

エキスパート、ロートルの類は人件費カットと邪魔者扱いの流れから職からあぶれているのが現状。

私が居た東急ハンズなどは接客販売、アドバイス、コーチングがウリで各部門の熟練者揃いでしたがこのご時世その形態は難しく身売りになってしまいましたね。

 

そして今回の時間の浪費に多大な不便と、大いなる気づきをいただきました。

そういった流れを「AI資本主義」なる言葉で語る方がいらっしゃいます。要はAIによって末端の人々はいよいよ貧困化し、社会全体が弱体化していくと。

 

私もそのAIが幅を利かせる世の中はちょっねぇ・・・。

経済、儲け第一主義、人のことはそのあと・・・それを国力などとは言えません。

 

扨、昨日は色々な方からのお便りがありました。そのうち資料をお送りいただいた方が2件。

その一つが先日いらした名古屋市博物館の学芸員の横尾拓真氏

からです。

横尾氏は丸尾月嶂の師匠の月僊の研究者と簡単に記しましたが数年前に月僊の展覧会を名古屋市博物館で開催したとのこと。

その際の図録をお送りいただきました。

リップサービスとして受けますが拙寺の丸尾月嶂の襖絵のご評価は光栄なことです。

「堂々たる大作で月嶂の力量が十分にわかる作例」と。

 

2つ目の資料が西尾市一色の安休寺ご住職雲英真人師から届いた書。

安休寺については何度か拙ブログで記しています(  

)がその寺の歴史もさることながら三河真宗教団では一目を置かれるお歴々を輩する寺でもあります。

今回の書籍は真宗全体でその問題について論議する機会が各地で催されている内容でした(是旃陀羅~ぜせんだら)。

 

是旃陀羅~ぜせんだら~などいう語はおそらく当地のご門徒の殆どの方は知らない語でしょうが、それは差別用語。

当流三大経典のうちの観無量寿経の冒頭に出てくる語で「知る人ぞ知る」その差別語によって多くの人々を傷つけて来た歴史があったといいます。

私の無知、その件知らなかっただけですが。

 

その送られてきた資料に上記の雲英真人師の造語という「AI資

本主義」があったのでした。

AIはまわりまわって差別を生む・・・なるほど。機械的に人を選別することが。

 

 

③の壁の型枠が取れて一気に整地④~➆。昨日の工事現場。

基礎の造成にかかるのでしょう。

⑧は正面中央の昨日朝の図。雨戸の堂内側から障子を突き破って出入りしたようで・・・トホホです。

サイドの障子から入って、そちらから出てくれればいいのに。わざわざ・・・

全ての自然の結末(野良ネコも)は阿弥陀の意思。

また奮闘させていただきます。