「発掘された日本列島2012」 墓地不要論

藤枝市郷土博物館は藤枝市民の憩いの場、蓮花寺池公園内です。(場所はココ)

蓮花寺池公園の南側には当流大谷派で熊谷直実ご縁のお寺、

蓮生寺さんがございます。

 

 博物館では現在特別展示で最近の考古学界での成果を発する展示会が開催されています。

500円の入館料を支払っていざ・・・平日の昼時で他の見学者ゼロでのんびり回らせていただきました。

撮影もOKです。

 

 その中で一番気に入った被写体がコレです。

弥生時代中期、2200年前の茨城県常陸大宮市「泉坂下遺跡」から出た人面付土器です。要は骨壺ですね。

保存状態の良さにまた驚きました。

これは再葬墓の形式だそうです。

亡き人を直接土葬して墓碑等を建てて墓地とするのでは無く、一旦「骨化」する作業として土葬し期日を見計らって掘り起こしてこの壺に「収骨」するというもの。

この形式は現代の形とほぼ似ていますね。ただ骨化の作業に時間をかける土葬では無く火葬にする方法をとりますが。

ただし拙寺墓地埋葬形式は遺骨も「土に還す」ことを推奨していますので最近では遺骨を木綿の袋に入れるかまたは直接各墓納骨室に納めます。よって最近の墓には壺や甕はありませんね。

また、この形式は葬儀式や法要形式が一族で執り行われていたことが推測されるそうです。

 

 最近、墓地に入れないで「あーしたいこーしたい」という要望があってそれに応えるべく各種サービス業の勃興を見聞きいたします。

「あーしたいこーしたい」の理由は①子供がいない②子供たちに墓守の負担をかけたくない③おカネをかけたくない④あのオッサンと一緒の墓に入るのは御免だ⑤坊さんと喧嘩した・・・などでしょうか。

 

⑤は当然坊さんに問題がある場合もありますので、これは別として、他は自力修善に付き威勢がいいこと・・・。

 

 

 そもそも真宗の墓参は先祖の「追善供養」よりも花を手向け手を合わせて頭を下げるという「縁」によって自身の感謝と反省の心を呼び起こし、毎度足元を今一度見つめなおす「人生の糊代」のような部分、機会ですね。

あそびの空間なのです。

 

 それがよもや不要であるというのでしたらむしろそのスタンスの鼻高々の凄まじさを感じてしまいます。

まぁどうのこうの言っても仕方がない風潮ですのでこれはご自由にされればよろしいですね。

 

 最近は海洋や公園に散骨、樹木の下に埋葬などの自然葬も耳にします。宇宙空間に飛ばしてしまうサービスも出現したとのこと。

葬儀無し、墓石無し、何という効率化。

しかし狭い日本、むやみに撒いたら近隣住民、皆、怒り出すのでは? 

海でいえば海洋投棄(他からすれば)と漁業活動との兼ね合いも重大問題でしょう。将来宇宙遊泳していたら衛星の様に地球を周回する遺骨にぶつかって事故に繋がったなんてこともありそうですね。

 

私からすればそれら散骨があったとしても「気にすることは無い」という態度(生命万物は土に還り海に還るのは当然のことですから)ではありますが世間様はきっと許しませんね。

 

 以前どこかの山寺の墓地の下のヤマイモや筍、アケビ(そんな場所は少なからずありますよ)を取って調理して友人にそれらを馳走したあと、食した当人から「何か変だ」などと言われることがありました。

が、その際「墓場の下で取った やっぱりな あははっ」などの冗談は口が裂けても言えないでしょうよ。(その友人がこのブログを読んでいるとマズイですね)

だれもが精神的なものとはいえ、そういうことは忌避したいことなのでした。

 

画像下段②と③は経筒。

平安期の物で牧之原市の静岡空港滑走路造成工事中に発見された堂ケ谷遺跡から発掘されました。

堂ケ谷廃寺ともいいます。そこの経塚から出てきたのが経筒です。

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    小山昭治 (土曜日, 27 10月 2012 08:45)

    自然葬など見た目はいいのですが
    好きにするのがいいのでしょう。
    個人主義がまかり通る世の中です。
    自分はそれでいい。
    それも許される時代です。
    先祖があって自分がある。
    自分があって子孫がある。
    それが破壊されてきているのです。
    それでいいのでしょうか。
    まさしく個人主義、いや利己主義。

  • #2

    今井一光 (日曜日, 28 10月 2012 08:40)

    ありがとうございます。
    近代的歴史の方向がこの個人主義を核にしていると仮定すれば、未来は暗いですね。共同とか助け合いの精神が希薄化しているということですから。
    やはりこれらの責任の一端は「葬式仏教」に特化していった寺の姿勢もあると思います。現在思考中です。