初期職人のモラルとコンクリートそのものの劣化

関西地区の地震でブロック塀の危険性が大きく問われるようになってから特に各自治体ではその改修に資金援助して既存ブロック塀の解体と別素材での境界フェンスの工作を進めていますね。

よくブロック塀に「鉄筋」の有無について問われることがありますが、一昔前は鉄筋無しなどの工事は当然の如くあったわけで・・・。いい加減というかそれが「予算に応じて」の工事方法の一つであったのですから仕方ないか・・・。

 

かつての職人さんと話したことがありますが、鉄筋どころかブロックの間の空間に親方から「新聞紙を丸めて詰めろ」と指示されていたといいます。

要は生コンをケチるということですが、時として新聞紙も詰めない空洞のままのブロック工事もあったといいます。

まぁそういった工事によるブロックはすでに軒並み崩れ去って今となっては問題として上がってこないのかも知れませんが、ひょっとすると奇跡的に生き残っていて未だ街路に建ち続けているやもしれません。

それを考えると恐ろしいことです。

 

しかしもっと恐ろしいのは橋ですね。

それが突然なくなったとしたら・・・川の中か谷底です。

橋梁型の道路はそこいらじゅうに走っていて最近になって指摘されるところはそれらの耐用年数、コンクリートの経年劣化の件です。

イタリアでは大きな橋が崩れていましたが日本でいうと「長さ2m以上の橋」というくくりだけで70万橋弱あるといいます。

 

また日本の高速道トンネル崩壊事故も記憶に新しいですがトンネルだと1万強。

他に道路・水道管・下水管・港湾施設に空港にビルなど様々な施設に使われているコンクリートですがそのコンクリートたちにブロック塀工事の業者のするようなモラル欠如の姿勢がまったくゼロであるとしたとしても、それらの耐用年数の迫っている、あるいは時間切れの超危険なそれらは今社会に溢れかえっているはずですね。現役として・・・

 

そこいらじゅうに道路に橋にトンネルが通って私たちの利便性は向上していますが、メンテナンス・補修の方におカネを回して行かないとこれから橋やトンネルはどんどん落ち・崩れていくのでしょう。橋などの場合ほとんど新規にかけるのと同様、おカネがかかりそう。

 

ちなみに拙寺寺標が立てられてから約20年。

大型コンクリート製構造物の一般的耐用年数は50年と聞きますが倒れることを殆ど考えていなかったとみえて薄っぺらいコンクリートが張られていました。

やはり劣化は甚だしいものがありました。

今度はステンレス製の鉄筋をベース部に差し込みミキサー車を・・・

本日午後には型枠が外れます。

 

 

 

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コメント: 2
  • #1

    小山昭治 (火曜日, 05 11月 2019 08:41)

    スゲー頑丈。これならいいでしょう。考えればきりがありません。例えばお寺の門が倒れ、将棋倒しで寺標が倒れるとか・・・想定外ですね。
    先日の滝坂の道でも春日山石窟仏は登り道が崩壊していて下から金網だけ見えました。想定外。観光協会でも言ってくれなかった。地獄谷は大丈夫でした。有難うございました。このまま柳生街道をずっと歩いて行きたかったです。

  • #2

    今井一光 (火曜日, 05 11月 2019 18:51)

    ありがとうございます。
    正面だけにがっしりとやらせていただききました。

    地獄谷石窟仏へ向かう「参道」は、おそらく「道」の躰を成していず、途中不安になったかと思います。私もあのコースに向かわれることに、夏の多雨によって現地がどうなっているか一瞬不安になりましたので無事にお帰りになったことは有難いことです。
    お天気の方も穏やかな晴れで奈良の街の喧噪とは真逆の空気を楽しまれたことと思います。
    観光協会の方針は基本「自然」であって「手を入れたくない」があるのでしょうね。
    観光地として整備しお気軽度を増すこともカンタンなのでしょうがそうしてしまうと
    あの静けさとうまい空気を犠牲にしなくてはなりません。
    ちょっと危険性が漂うところがイイ。