緑茶農家疲弊の一手 朝鮮人参座から田沼推奨

10日ほど前に静岡県産二番茶の取引状況について報道がありました。ボロボロの結果だったようです。

一番茶の相場自体の低迷から当然に二番茶も酷いのだろうという予測でしたが、殊にひどい。前年比20%越えの価格ダウンでした。1㎏あたりの平均単価534円で28%減は勿論過去最低線。

今年の二番茶の価格は当初は700円代で始まったものの、買い手需要なくズルズルと価格を下げていったとのこと。

 

ここ数年は価格下落傾向に生産農家がついて行けずに茶生産の廃業が続いている牧之原ですが、来年も増えるでしょうね。

今各所でかつての茶畑は雑木林へと激変している様子を見続けていますがそれに拍車がかかりそう。

その価格では「やらない方がマシ」というのが農家の弁。

 

一見してペットボトル飲料は「繁盛しているではないか」という声が出てきましょうがそれは違いますね。

大手メーカーも仕入れ値が安い方がいいですから価格の暴落は大歓迎。相場はほとんど買い手主導なのです。

急いで買わなくても「投げ」を待つというのは相場の鉄則ですから。

 

素人目には農家をイジめることになれば廃業を増やしてしまって結果的に素材供給に問題が生じかねない・・・と思いますが、まだまだお茶農家は存在し多少の淘汰消滅については「致し方なし」というスタンス。

むしろ優良な農家が残るという算段もあるでしょうね。

材料購入するメーカーとしては農家苦境寸前の「生かさず殺さず」が基本のような。

多少の消滅に関してはメーカーにとって痛くも痒くもないということです。

 

特にまたドリンク用の茶葉などは最低レベルの、「殆ど茎」に近いような部分で生成されているといいますし、技術的にも以前なら捨てられるような部位からでも十分に商品化することができるようになったと聞きます。

大手のスーパーなどべらぼうに安価なボトル茶が並んでいますがそれはこの「効率化」の成果ということですね。

 

ある意味、生産者のクビを絞めて搾り上げた効果であり消費者の無知につけこんだ商法ともいえるのでは・・・。

しかしそれが分かっていながらペットボトル茶のお世話になっている私ども静岡県人がいるから恐ろしい。

もっとも拙寺では世話人会など会合に出すものですが。

昔の如く、お茶碗出して急須に入れて沸かしたポットのお湯を・・・などと求められるワケもなく。

 

私の場合は深蒸し茶を冷水を入れた専用ボトルに突っ込んで放置。バッチリ緑色に出たそれを飲んでいます。

ペットボトルのお茶はその字と同じ「茶色」です。それも薄い。その味に慣らされているだけでうまいワケないですね。

 

その業界繁盛は目まぐるしいものがあると思います。

素材価格の暴落と精製技術アップによる効率化です。

しかし、新茶収穫が始まる前にペットボトルの新茶が出回っていたり、よく言われますが、京都のお上品そうな「宇治」など古風でさもありげな名称のペットボトルの中身もそのほとんどは静岡茶の二番茶以降の格安モノが使用されているとも。

お茶はブレンド当たり前の代物で商品名と中身の生産地の多少の矛盾は許容されているのでしょう。

結構インチキくさいその品に消費者は慣らされているのですがね。

 

しかしチャンスはあるのでは・・・

ペットボトル商品への風当たりが俄かに強まりつつある今、本当に美味しいお茶をビンや紙パックで行政主導の肝いりで「やっちまえ」・・・です。

ペットボトルに負けないおいしいお茶、本来の効能がバッチリ充填されたお茶の生産販売です。

 

結局そこのところ地元に工場まで作って、クズ茶を買い求めてくれるメーカー様の顔色をうかがわなくてはならないでしょう。よってお役人ではどうにもならないでしょうね。

やはり本腰を入れて地場産業を守ろうという気持ちが無いのでしょう。

 

さて、今、お茶がダメなら他の農産品で・・・という代替作物の模索は多少なりともありますね。

今、私の周辺で聞くそれは「高麗人参」。

人参茶ではなくそのものズバリです。

 

ここのところの史蹟研究会では田沼意次時代以前からあった「人参座」を継承し田沼意次も本草学者を重用して各地に朝鮮人参の栽培を推奨しています。

そういった歴史的背景を持つ相良地区でその方向性を模索、茶業代替の選択肢として勧めようと動いているのが史蹟研究会の会長です。

 

半信半疑ですが既に「やってもいい」と手を挙げているグループが片浜地区で現れているとのこと。

私にはまったくわからない世界ですが、今ある日本の産地、会津長野などかなりの寒冷地。そもそも朝鮮人参というくらいで、寒そうなところが産地。

こちら南向きの暖地で生育できるのか疑問ではあります。原からの茶の肥料の浸潤の問題もありそうです。

 

③は先日掛川の「李さん」という生産者が作ったそれが店先に並んでいましたので試しに購入。「ホントかよ」といいながら・・・

極細で「あのイメージ」とは掛け離れていますが、この辺りでも一応生産者が存在している証です。

1個400円。会長宅にも一つ届けました。

すると葉っぱのカタチが違うのでインチキかも・・・と。

 

洗って生で食べましたが、味はほんのりニンジンの香り。

ただし奥方は・・・無言でした。