闕所(けっしょ)に所払いは咎戒め 淀屋辰五郎

ブログでは近江守山の「浮気」について記していましたがやはり普通に言う「浮気」はイイイメージはありませんね。

 

当流宗旨は以前は「一向宗」なる言葉(真宗学の立場からはあまり好まれない語のようです)で評された時期がありましたが、それは籏頭を「一向専念無量寿仏」として阿弥陀仏以外の神仏には手を合わさないという気概があったからですね。

 

「一心」は何より大切な事なのですがそれは他の色々に於いてもいえる事。よく言われていましたね「選択と集中」など。

先日はその多方面に向かう浮気心の欲求について人々がバーチャルのおカネへ向かう「私のちんぷんかんぷん」、現代版「二心」というか無限の欲求に向かう心の一端について触れました。

 

ビットコイン等の仮想通過の件ですが、ニュースによるとここのところ酷い暴落があって大損を被った人が多数出たとのこと。

色々なところで「破算」的借金を抱えた人たちの声が上がっていました。

私が一昨日テレビにて知った話によると、「360万円の投資が一夜にして1600万円の借金を抱えることになった」と。

これは取り扱い業者によって違いますが元金に対して最大で25倍の投資が可能(この場合最大9000万円)といいます。

そのシステムは急激な変動によって問答無用の「強制決済」が発動されますので暴落ともなれば元金喪失どころかイキナリ大借金が発生するワケです。

 

20代後半から30代の人の「一攫千金」狙いの投資として俄長者の後を追わんと参入したのでしょうが、その辺のリスクを顧みない短慮であったのなら自業自得と単に言うのは気の毒なような気がします。

年初の暴落の際に某飲食店で若い人たちのグループ(見たところ某金融機関の人たちの昼食中)から「今こそ買い時」風イケイケの言葉を耳にしていましたが今思うと「あいつら、大丈夫かよ・・・」と少々心配の感。

 

一部には「今度こそ買い時」風の声も聞こえていますが、アメリカの財務省は仮想通過を「進化する脅威」と今後取扱い業者の検証にはいるそう。

マネーロンダリング対策と言いますが北朝鮮資金の還流の件も米政府は大いに疑っているでしょう。

アメリカが本腰を上げれば浮遊マネーはそちらから引き上げる可能性もありますね。今回の暴落の引き金は韓国と中国の規制の観測だったようです。

 

日本の税務当局も「儲かっちゃった人」に追っ手をかけてくるとのことでその探索に藪蛇の人や企業もあるでしょう。

仮想通過バブルもしばらくは沈静化しそうな気がします。

まぁこのバブルの最後の尻尾の部分に喰らいついたのは日本人投資家といいます。

果たしてわが国でどれくらいの人たちがその大層な借金を抱えたのでしょう。

犯罪に走ったり自暴自棄にならないことを切に願います。

 

今回の仮想通過のバブルは「ボロ儲け」の成功譚を聞かされたワケですが、人々は少なからず羨望の目で見て「次こそ我こそは」という気持ちも芽生えて来るでしょうね。

昔からそのような「浮わっついた世風」「奢侈」について「政」担当者は嫌ったものです。

やはり「淡々と一歩一歩地道に働いた人の人生」のみが美談であってそれこそが推奨したい民の生き方です。

 

さて、昨日NHKの「お名前」番組をぼんやりと見ていると、大阪商人の「淀屋」が登場していました。

紹介されていた「淀屋」の子孫といわれる方が50年前に壊した「淀屋」屋号の彫られた墓石の画像を紹介していました。

 

私の存じ上げる「淀屋」の墓碑は石清水八幡の麓、神應寺 にあります(場所はこちら)。

あの巨大五輪塔の鎮座する手前にそのお寺の山門があります。

 

その淀屋辰五郎(廣當  こうとう)はといえば日本一の豪商と囃された人ですが、今でいうバクチの如くの投機的成功者ではありません。

番組でも紹介されていましたが、土木技術から始まって米市を設立するなど今の大坂商人のベースを作った経営者でもありました。

特に彼の儲けは莫大で、金の使い方も豪快、今の「俄か億り人」など比較にならないほど。

天井にガラスを張って金魚を泳がせて涼を求めたという逸話も有名でした。

 

その淀屋の凋落も「殆ど一夜」で消える事になりますがそれが表記、「闕所」(けっしょ)。

「闕所」は時代によってその捉え方は違いますが、古くは単純に戦いで負けた者の所領を勝者が奪い取るという今云う「所有権の移転」です。

これが江戸期になって庶民の刑罰に伴う仕置きと変化しお上(幕府)が没収というカタチで資財を取り上げるということがありました。

 

その手の横暴理不尽とも思われる施策はトップの殆ど感情論ともいえるもので何らの脈略もスタンダードもないことと思われますが秀吉によるあの「梵鐘の三井寺」潰しもかなり有名な話でした。

 

その淀屋辰五郎に降りかかった「闕所」の処断。

その時彼自身と彼の家族は何を思ったのか心情察するのみ。

推定没収財産は今に換算すると100兆円を超えているといわれています。

お上に100兆円打っ手繰られてケロッとしていたかどうかはわかりませんが彼の場合は少なくとも借金が残らなかったのですからそれでもマシなのかも。

借金を帳消しになって喜んだ大名も内心申し訳ないと頭の上がらない部分も残りましょうし恩は売っているはず。

裸一貫になったというわけではなかったでしょうが・・・

それにしても江戸期の豪商の金持ちぶりというものが半端でなかったことがわかります。

 

①神應寺山門の向かって左側にあの大五輪塔が見えます。

最後の画像が墓地から見た淀川に交わる直前の木津川方向。