卑下すべき 毎事卑下被成候様専要 御師の様

昨日は将棋の竜王戦、藤井四段の29連勝がかかった一戦を観戦させていただきました。

「羽生は宇宙人、藤井は化け物」という他のプロ棋士のわかりやすい彼の評価を聞いていましたので、一度くらいはまともに拝見してみようということでインターネットの生中継のモニターを凝視。

ただし観戦と言っても状況をずっとへばりつくように椅子に座っていることはできません。午前10時に始まって終わったのが午後9時30分近くでした。

 

そもそもこの月曜日はたまたま午前と午後、2件の法事が入っていましたので・・・

午前の10時30分開式の法事が終わってその画面の将棋盤を見て驚きました。何も変わっていないのです。

1時間もインターバルがあったのにかかわらずです。

これだけでも私には「絶対無理」を思いました。将棋等、頭を使うゲームにはつきもののと言われる「長考」というヤツですね。

 

先の先を読んで最善の選択肢を思考しているようですが、その一手が首を絞めることにもなりかねない将棋のプロは極端に慎重さを持ち合わせいなければ成立しえない職業であることがわかります。

よってあの快挙は驚異であり尊敬すべき14歳なのでした。

軽率無分別、思慮軽薄の徒と自身卑下してもしたりない私に於いて、その真似事すら我慢がならないと思う次第、すべてにおいて呆れ果てるばかりです。

 

ちなみに私はその「軽率無分別、思慮軽薄の開き直り」を「取柄だ」と自負して生きてきた(厳密には「生かされてきた」)身でありますが、この「立ち止まって考えずに行動に移す」人生経験だけは時として大層な「無駄」もありましたが私の「長考人生」のうちの無数の手数でありこれはどこかしら有意義として身についてきたのではないでしょうか。

天才少年と私を比較しても始まりません。

生きる世界が違う」の一言で締めましょう。

 

さあ、本日は「卑下」について。

この語は最近では「卑屈」という語と同様解釈されることが多くなりましたが、「卑屈」の方は「卑下」が行き過ぎでもはや鬱屈した精神状態をも思いますので、決して「同じ」とは言いきれないものと。

 

しかし卑下なる態度をとると「そう卑下することはないですよ」などという通常会話に発展するであろうことから、そのように受け止められた際、「かまってちゃん」か「逆に褒めてもらいたい」等々「何か裏がある」発言として見なされてしまうようです。よって過度な「卑下」は鼻につく・・・などと嫌われる面がありますね。

 

しかし「卑下」の反意語は「尊大」でしょう。

私は「卑下」とは「謙遜」「謙譲」の上をいく「日本の文化」ともいっていい言葉だと思います。

日本の文化・・・色々ありますが、本当の日本人の文化の心底に流れる日本人の意識とはこの「卑下」ではなかったかと思わせる古文書を叔父より紹介されました。

 

そのものズバリその語が記されていて「専ら必要なこと」と。

この文書は「御師の文」とのこと。

「御師」(おし、おんし―「御祈祷師」から)とは寺社に属し、参詣者を案内し参拝と宿泊等の世話をする者の事で、特殊な「神職」。

発祥は平安期ともいいますので、「日本の文化」と発したとしてもまんざら嘘っぱちではありません。

まぁこの職種も明治以降衰退し、今や殆ど耳にしなくなりましたが、全盛期には大神社や富士・白山・大山参りにはつきもので彼らが集まった「町」まで形成したほどでした。

 

その文書ですが御師の態様に「卑下」が奨励されていました。

ここでは「へりくだる」と注釈がありますが、やはり関西系お笑い劇でよく聞く言葉「偉そうにすな!!」ということでしょうね。

 

今の人々は尊大になりすぎました。

いや昔から人間という者は「慣れ(常)や安泰」が続くとしばしば「尊大になっちまう」ということを先読みしているかのようでもあります。

歴史文化から今の人間を知る一つの例、教訓なのです。

ということで「尊大」推奨というかそれこそをすばらしい生き方として「よいしょ」してきた昨今があるのでしょうね、今の人たちには。

 

特に坊さんは「尊大」になりがちであるから、何も悪くもない「袈裟」までも「憎い」という「とばっちり」を受けるのでしょう。憎いの連想の代表例として言われてきたくらいですからね。

 

今やその裏表のない「卑下」について日本人は今一度思い返す必要がありますね。

私はその語は「卑屈」の連想ではなく、すべてに向かっての「思いやり」であると今更ながら感づいたところです。

遅きに失した感も大アリですが。

 

「@ Jazz --- ♪ The One-Stop Jazz Information Site -- ♪」に松風鉱一 (sax,fl,cl)氏のスケジュール表が公開されていました。「2017.08.15 大澤寺」です。当ホーム参照。