古の名を推す「開田」 開田城は中小路さん

寺にいて「聞き流してほしいが敢えて聞いちゃいます・・・」という「ぶっちやけ話的」機会にお付き合いすることがあります。

ここのところのその手の3題をあげますと・・・

 

①「親族が医師に余命告知されたが葬儀費用を心配している」

②「幽霊を見る、人に見てもらったら先祖に恨まれていると

③「双極性障害ですが話を聞いて」 です。

ちょっと前までは「死にたいんです・・・」という「内わけ話」もありましたが、そちらの方は今のところ何とかとどまっていただくという「おかげさま」を得ています。もう心配はないでしょう。

 

三者三様どちらさまの談も切迫の感あります。

まぁこの手の内容はまず、守秘義務のある坊さんへの問いかけですので、こちらとしてもいい加減な態度で「対峙」することはできませんね。

ここは坊さんとしての仕事の気概というものの発し処でもありましょう。

 

①は一般的にはあり得ないとても気の毒で辛いシチュエーション、すべてがどうにもならないことばかりでお手上げのレベル。

どうにもならないことはまるで「仕方ない」ことですから私は「できるところだけで」と了解し、葬儀社をできるだけ使用しない、本堂使用の「手作り葬儀」を勧めました。

 

世話人会と婦人部に声掛けして協力者を集める旨伝え、先日の総代会にてその件の了承を得ました。

私はそれよりも余命数週間と告知された方が病床で「さわやかのげんこつハンバーグが食べたい」との言葉を聞きましたので、病院に一番近いその店(病院はかなり遠方)を目標、容器に詰めて持参し一口でも食していただく事が第一義に考えるべきと伝えて別れました。

 

②の件はごく普通に耳にすることで、そのうちの半分は「奇をてらったことを言って注目を集める」もので、過去にはよくありましたがこのタイプには閉口させられます。

「私って霊感が強い方じゃぁないですか・・・」の人ですね。

ハッキリ言って顔では笑って腹の中では「やれやれ」の「知らねぇよ・・・」です。

 

で、残りの半数、坊主としての私に真顔でそれを言ってくる方はよもやいわゆる「ヨタ話」の域は超えていて結構に深刻の域に。そういう場合は・・こちらでは詳細は割愛しますが、「人間界無常合理」を仏教理念を本筋として持論を展開、ただそういう考えの事を「邪道」と一蹴させていただきます。

また、「見てもらう」というのは当地でよく言う昔ながらの呪占系の生業の人がいるということですが、大抵、その手の悩みを誰かに示すとお節介にもそういう人の介在を招いては話がこんがらがってより一層の呪縛を招いています。

 

そういう人たちの占いの結論としてまずポジティブ解説の例を知りませんし。

最後に私が告げた言葉は「その幽霊が出て来られたら是非私にも紹介して」そして「何が言いたいか耳を傾けてあげて・・・」です。

 

③は困惑しますね。その方は檀家さんではないのですがここのところ何度も私を尋ねてやってきます。

当家のお方さまが爆笑するのは、その方が私の事を「オレと同じだから話しやすい」と喋り続けているところ。

 

「双極性障害」であると自ら発し人間関係と家族関係で悩んでいるよう。

こればっかりは周囲がその理解をしてあげることが肝心で、どう治していくかではないですからね。周囲の理解力が増せば感情の振幅も抑えられるのですが。

ただただこの件ばかりは私は聞き役に徹しています。

 

さて、勝竜寺城周辺の城、久貝城神足城を記してきました。

続きまして本日は開田城。

上記神足城のところで記したカラーの乙訓郡の中世城館図でも画像①の図にもその開田(かいでん)という城の名称が記されています。

城は国人領主城砦のパターン100m×100mに近い70m×70mのエリアに土塁と堀で固めたものと発掘調査によりその規模が判明しているよう。まぁ城というか館の類でしょうが・・・

 

しかし「開田」とは古の名、領主開発新田を思わせる地名です。

地頭職かそれに準ずる土豪が台頭して新田開発を進め力をつけて行った歴史です。

現在のこの地は長岡京市の中心地にあたり、マンションや大型建造物の隙間にその遺構を「何とか残そう」という意思が強く見せられる場所(繁華街の中心地 場所はこちら)になりますが、まぁ何とか残存遺構があることだけでもヨシですね。

 

「開田」はさすがに当時新しく拓かれた土地のようで、こちらの居館の主の名は中小路氏。

こちらの「中小路」の名跡は神足神社の神足氏と同様、この地には確りと残っていることにまた驚きがありました。

 

近隣にツツジで著名な長岡天満宮がありますがそちらの宮司さんのお名前が中小路氏。

電話帳によれば周辺にもこの姓は6~7件ほどありますね。

中世より戦乱の中心となった地域にあって歴史から完全に姿を消したとしても不思議はないところ、その土豪、地頭クラスの旧領主の名もしくは血脈が引き継がれていることを想像することは楽しいことです。

勝手な想像ですが久貝、神足、中小路いずれも地元の名家でしょうね。