歴史と伝統 微妙な価値意識の変化で滅亡の憂き目

画像①はおすそ分けのいただきもの。

当山婦人部長、御実家(吉田)の和菓子店の栗むし羊羹です。

お彼岸で超繁忙、一日ヘルプで店頭に立ったそうです。


 いたって好天の飛び石連休日曜とあって当山も朝から大阪、東京と遠方からのお客様が見えました。夕方からは御内佛の新調というお宅があり開扉式の依頼に急きょ対応、そこそこ忙しく過ごしていました。8時の大河ドラマに間に合えばいう事なし。

 

 午前の法事中に、市会議員の方が訪れて「例の件」の報告に訪れてくださったようです。それは7月5日前後のブログで記した火葬場への提言です。

現場担当者に言っても埒が明かず、役場に行っても今一つ理解困難に陥った挙句、私は盂蘭盆会の法話挨拶の中でそれら疑問を皆さんへぼやいていたのですが、堂内に同座されていた方々の中に議員さんが居てその改善案を議題として提案してくださったようです。


 当山檀家さんの中に市会議員をお役にされている方がお二人いらっしゃるというのもありがたいことですが、デカイ声で皆さんの前で訴えるということは何事も改善へつながる第一歩ですね。

「オカシイ」と思ったことを前回羅列しましたが、その中で議会でやはり第一に「オカシイ」と一同思われて即改善しようと決まったことは、火葬場業務担当部署を改めるということです。


 部署というものの業務担当などはある面形式的でどうでもいいこととは思うのですが、苦笑というか、笑えない皮肉というか、「そんなもの」との諦観か、実際これは以前からそうあって案外役場の中でも知らない人が多かったちょっとした疑問でした。

「ごみ処理、し尿処理、火葬場」の三大「処理?」を同一の部署が担当して「環境課」を標榜しているのはやはり異口同音に「何か嫌だね」の声が出たとのこと。課の変更が為されたら本当の意味で「処理」の感覚から「あの時」だけにもう少しだけでもいいですから「儀」や「礼」、そして華美にならない「荘厳」にウェイトを置いて、より葬列者へのケアへ傾注していただければいいと思った次第です。


 さて、昨日の日経新聞に経営者の失策についてのウエィトの掛け方、スタンスの違いによって会社(家)を潰してしまった例が記されていました。

 「歴史と伝統」(家)か「上場維持」(会社)かの2つの重大な経営者の使命についてです。結局後者へのスタンス(上場維持-架空増資-逮捕)が仇となって「歴史と伝統」=「家」をも失ったという話でした。


 記事のタイトルは

「和菓子の駿河屋 破産した500年企業の不徳」です。

大河ドラマでは黒田家に騙し討ちにされて滅亡した宇都宮鎮房の娘の名が鶴姫でした。それにしても酷い話で、できるだけ「秀吉が悪い」という方向に纏めようとしていましたが、それにしても「黒田の腹黒さ」のイメージも否めないエピソードですね。

 

 まったく関係ない「鶴」を記してしまいましたが、徳川五代将軍綱吉の長女の名も鶴姫。紀州徳川家に嫁ぎます。

 駿河屋の屋号はその際、以前の「鶴屋」から変わったもので奥方と同じ名は「憚られる」という意で返上、紀州徳川から下賜されたのが「駿河屋」でした。当地や駿府にありがちな創業者の出身地を屋号にしたてものではありません。


 その大元の「鶴屋」の創業は寛正二年(1461)。応仁の乱が1467年ですからそれ以前。550年以上の昔、初代の岡本善右衛門が京都の伏見で開いた店ですが元和五年(1619)に紀州初代藩主徳川頼宣に連れられて和歌山に本拠を移したそうです。


 「駿河屋」の菓子は特に関西系の定番となるまでになって株式市場(2部)にまで上場していました。

記事ではその上場とその維持が長い歴史の中でほんの一瞬の最大の「あだ」だったと断じていました。


 創業者の苗字と同じ社長さんの犯した罪の容疑は「電磁的公正証書原本不実記載」、内容は11億円の「見せ金」による架空増資ということです。どうでもいいことですが、その11億円は一銭も残らず投資コンサルタントに巻き上げられていたというオマケまでついていました。


 550年=歴史=伝統=のれん=信用の構図も一つの不徳(逮捕)という事象によって瞬く間にすべてのものが瓦解して水の泡となるという事案でした。会社更生法もままならず破産宣告でしたからね。


 経営の拡大は経営者たるものの使命ですが、需要循環社会というものがあるならば雌伏の時間、許容も必要ですね。

経営者は攻めと守りを巧みに臨機応変に立ち回らなくならないということを教えていました。


 失敗を恐れて何もしないということは大いに「愚」でありますが、身の程を超えての本末転倒の愚がこの身の中に潜むことも忘れてはならないことですね。


 寺の運営も一つの経営、経営は経を営むで本来は仏教用語。

今後いよいよ多難であるといいます。

私も御先祖様の一所懸命の伝承に泥を塗らぬよう無事、次にバトンタッチしていきたいと思います。


 ②は日経電子版2004年11月15日の大阪府警捜査員が駿河屋本社の家宅捜索に入ったところ。

当然に犯罪者の汚点がついた包装紙に贈答品としての権威は無くなって顧客は消えていきました。