火の恐ろしさ 細心の注意と・・・あとは運

画像①は昨日の大河、信長が座る曲彔(きょくろく)の図。

ドラマ小道具さん使い回しでしょうか。

 

 さて、春の法要でのお寺からの返礼品にステンレス製の切手つまみ用のピンセットを選びました。

和ろうそく用、芯切と火消に使ってもらおうと考えました。

真鍮製のものでもっと気の利いた風のデザインのものはありますが、錆と変色に強いステンレスのそれを選んだというわけです。

 

 というのもあいも変わらず、御内佛(お仏壇)周辺からの火災の話が聞こえてくるからです。

先日もバーベキューの残り火から山火事になって、その過失から逮捕に繋がった事件がありましたが、その日は山梨で仏壇の線香から出火して全焼してしまったニュースがありました。

 

 前者はともかく、仏壇に添える線香やロウソクによって火災という災禍にあうというのは辛いことです。

「あってはならないこと」という気持ちで一杯ですが、どうしても昔からその話は耳にしますね。

 

当地静岡で聞いた話です。

昨年の秋の彼岸、ある寺の住職が自家用車では無く徒歩(バス?)で檀家さんの家にお参りに来られたそうです。

法事終了後、住職を送るべく、家族ともども同乗してお寺へ。

無事住職を送り届けて自宅に戻ると家が全焼していたという話です。

 

 無念ですね。私がそのお寺さんの立場だったらどうしていいかわかりません。

そういえば昨年のお盆の手ぬぐいは「火用心」ではありましたが、その話を聞いて以来、私が先方様の御内佛にお燈明を点灯した場合、「この手で消す」ことを心掛けています。

それ以外では家の人に頼んでその「消火」を確認してから席を立つことを心掛けています。

 

 当方では和ろうそくを使用する頻度が高いので、特にその点はケアしなくてはなりません。

徹底しなくてはならないことは人が席を外す時はロウソクの火は必ず消すということですね。

自宅通夜などでもその件、徹底していただいていますし、「ロウソクや線香の火を絶やさない」などというお話は「迷信です」と言って席を立ちます。

 

 幸いにして、当流では線香使用の焼香の際は、土香炉②の大きさにあわせて折って寝かしますので、線香を立たせる場合と違って倒れて火が落ちて火災に繋がる確率は数段低いかと思います。

 

 しかしどうして線香が倒れるか、その「メカニズム」は色々ですが、一番多いと云われるのが、時間差をおいて焼香者がある場合などといいます。

後から線香を立てると、灰の中に前の焼香の残り火があって、立てた線香の根本に着火し、下が燃え、結果倒れてしまうということがあげられるそうです。

その場合上下2カ所に火のついた線香が転がるということになります。

 

 転がった場所によって大いに運不運、左右しますね。

経験上、何となく畳は意外に火災にならないような気がします。

どこのお宅の御内佛の下の畳には線香の燃え尽きた黒い線が残っていますので・・・。不思議です。

 

 当山、本尊前の焼香鉢とその下、そして机の下には難燃シートを敷いていますが、燃えやすいものを周囲に置くこともタブーですね。

また、線香を寝かせる場合でも、定期的に灰を綺麗にして、燃えやすいマッチ棒や埃を除去する必要があるそうです。

 

 画像③は代々、積み重ねた「運が良かった」印(赤丸)。

当山では線香を数本に折って火を付けますが、ポロッと指から滑り落ちて、その場で気が付かずに燃え尽きた線香のコゲ後が各所に残っています。

晩年の父親がよくやらかすミスでしたが、事なきを得ていたことは不思議ではあります。漆塗りの床も案外線香から延焼しないものでしょうか。

 そういえば母も決定的なミスにもかかわらず救われていました。その時は火の付いた炭が濡れ縁に転げ落ちたにもかかわらず新しい炭を新たに用意してそれを放置し、3枚の本堂縁側が翌朝までにまる焦げになったという事件がありました。

 

 とにもかくにも火事をおこさないよう、「小さな火」であっても油断すること無く、御内佛を荘厳したいものです。