如露亦如電 オバマさんのチェンジ

日本時間6日夜ニュース番組は米国大統領選一色。

現地ではここにきてどうやらオバマ大統領勝利を予想して

いるようですね。それにしてもすばらしいことです。

任期いっぱいまでやり抜くのが当たり前なのですから。

選挙前のメディアを巻き込んでの罵りあいに米国民でさえも

辟易としているとのことですが、お国柄でしょうか、

選挙後はいつも両党うまく国政をすすめているように

感じます。

日本国内となるとお互い「辞めろ辞めろ」の大合唱。

お仕事といえば足の引っ張り合いのみにしか感じられず

あそこに集合する御一同、皆給料(税金)泥棒にも見えて

しまうのは致し方無きことでしょうか。

 

 さて選挙に勝つ人も負ける人も・・・ではありきせんが、

大内義隆辞世 討つ人も 討たるる人も 諸ともに」を

思い出します。 
この世に生きる人、生きとし生ける者すべての人へ

おくる言葉でもあります。

 「討つ人も・・・」のあとに

「如露(にょろ) 亦如電(やくにょでん)

応作(おうさ)如是観(にょぜかん)」という言葉が続きます。

「つゆのごとく、かみなりのごとし」露と雷光は一瞬にして

消えてしまうので古より「無常」の代名詞です。

そのあとは「まさにかくのごときかんをなすべし」です。

 

 秀吉の辞世

  「露と落ち 露と消えにし 我が身かな

          なにわのことは 夢のまた夢」

「夢」もまた同様ですね。人と夢で「儚い」(はかない)

でした。

 「無常」(・・・諸行無常)という言葉、耳に強烈な脱力感を感じる方も おられるかと思いますが

「ああ無情」(Les Misérables)の 「無情」と混同してはいけません。

仏教的にいう「無常」は読んで字の如く「チェンジ」です。

前回オバマさんが大統領になった時その言葉を連呼していましたね。

オバマさんは「より良い方向に」変わることを言いたいのでしょう。

人間というものは本質的に、(よって経済も政治も・・・)

本当は「変化」を嫌う生き物なのですね。

ある程度の安定を好みそれが損なわれることは忌み嫌う

べきことであると。

 仏教の強調する「変化」の捉え方は、世のものすべてが

変化し続ける(極論は滅亡に向かう、生まれたからには

死なねばならない)のだということでしょうか。

ですからオバマさん他、私たちがどん底から這い上がったり

悪いことからいい方向に向かうなどを期待するという、

あたかも薔薇色のすばらしいことに変わることとは違いますね。

 

 仏教的観念ではその生死の間に「老いる」という変化と

「病む」という健康の変化について示しています。

そので4つの「変化」こそが「苦」であることを。

 

 4つの「変化」、その「苦」しみである「生・老・病・死」が世にいう四文字熟語「四苦八苦」の「四苦」であって人間は勿論すべての生きとし生けるもの、ひいては万物までもひとえにその無常の下にあるということです。

また往々にして人はその事を忘れて、あるいは他人事のように振る舞うものだと教えているのが真宗の教えでもあります。

 

画像は東京浅草東本願寺の蓮如さんの像。

蓮如さんの御文にもまたこんな文言が。

 

蓮如上人  御文 一帖の11  電光朝露

 

それおもんみれば、人間はただ電光朝露の夢幻のあひだのたのしみぞかし。

 

たとひまた栄華栄耀にふけりて、おもふさまのことなりといふとも、それはただ五十年乃至百年のうちのことなり。

 

もしただいまも無常の風きたりてさそひなば、いかなる病苦にあひてかむなしくなりなんや。

 

まことに死せんときは、かねてたのみおきつる妻子も財宝も、わが身にはひとつもあひそふことあるべからず。

 

されば死出の山路のすゑ、三塗の大河をばただひとりこそゆきなんずれ。

 

これによりて、ただふかくねがふべきは後生なり、またたのむべきは弥陀如来なり。

 

信心決定してまゐるべきは安養の浄土なりとおもふべきなり。

 

以下(近ごろの坊主の体たらく振りの段)省略

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コメント: 2
  • #1

    小山昭治 (水曜日, 07 11月 2012 08:38)

    まさしく「世の無常」。
    人間は生きていく以上喜怒哀楽が付きまとう。
    それが人間。
    いい時もあれば悪い時もある。
    それでも できる限り精一杯生きている。
    いや 生かされている。
    それならば 覚悟を決めて生かされるままに。

    それでは 本能のままの動物か。
    考えるよりも現実が目の前にあり
    それを解決するのが精いっぱい。

  • #2

    今井 (水曜日, 07 11月 2012 19:53)

    ありがとうございます。
    喜怒哀楽のまま(煩悩にまみれたまま)一所懸命に生きる(生かされる)それが他力の本願ですね。
    そのまま阿弥陀様にお任せして今あるまま過ごす。
    バカボンのパパの如く「それでいいのだ」です。