よくわかんないよ 国土交通省

国土交通省静岡河川事務所の考えが理解できません。

今時、「松並木」なんてものが残っているのなら「是非に残したい、保存したい」という声が多くあがって地域住民で守っていこうという気概というものがみられるのかと思っていました。

相良でも松はただでさえ少なくなってしまって幼木から植栽で復活させようと努力していますね。

しかしこのほどのニュースには唖然とさせられました。

それは安倍川(静岡市駿河区)の堤に残る松並木の松56本が一旦は地域住民の声があったということで「全部切る」という結論が出たものの別の市民から「オカシイ」「やり過ぎ」の声があがり、「じゃあ半分切ります」という折衷案に収まったというニュースでした。

要は伐採を要求する住民と、保存を望む市民との意見の半々で収拾させたいということでしょうか。

そうだとしたらその役所仕事はいわゆる「おバカ」ですね。

まともじゃない、呆気にとられて、開いた口が閉まらない事案です。

 

文化遺産として保存を主張する方たちの反意のクレームに驚いて突如樹木医を連れ出し「倒木のおそれのあるものを調べたら23本でした」という理屈をつけ双方の折り合いを計るという意図は見え見えです。

 

 そもそも事の発端は松の土手近くの住民が、松の枯れ枝が落ちて危険であるとか雨樋に枯葉が溜まるといったクレームが出てその一方的なクレームに対してたまたま予算があったのか、素早い対応と自ら胸を張りたかったのかわかりませんが、「住民の危険への対応」という大義までつけて「56本すべてを伐採することになりました」というニュースが発端でした。

 

よ~く考えてみましょう。

文化遺産としての松並木は大切にして後世に伝えていきたい風景でもあります。そしてそれは通念上「街路樹」ですので定期的に管理する必要のあるものですね。

しかし管理者である国土交通省はその管理を怠って長年放置してきたわけです。管理しなければ「放置」状態ですから枝が枯れたりすればそれは危険です。

だいたい体裁程度の管理も聞くところによると無茶苦茶です。実は木の剪定管理は上から下に向かって行うものなのですが、「業者の選択を間違えた」という理由をあげていましたが、その業者は「切りやすい」下枝だけを切るという「管理」をしていたとのこと。よって松の頭の方が異様に残る不格好な形になっています。

 

 私も木の世界を多少知っているつもりですがそのやり方は「やっつけ仕事」でいわゆる「日銭泥棒」あるいは「ド素人」の部類です。

手の付けやすい下枝ばかり切れば植生は上へ上へ逃げるしかありませんので細長くひょろ長いものになるでしょう。

松らしい樹形は保てず病的で栄養も不十分となって弱く枝枯れしやすくもなりますよ。

付け加えますが下の枝振りを切るということは、「次回の管理はしない」「やり逃げ」の意思表示とも言われています。

下枝が無いと高い位置に登っていけませんので以後管理には大型のクレーン等を常時搬入しなくてはならずコストが跳ね上がります。

下枝は管理上、高位に登るための「段」としても残さなくてはならないのです。

そういう点から切りやすいところだけ仕事をするので「素人」「日銭稼ぎのやっつけ仕事」と揶揄されても仕方が無い仕事振りが推測できるのです。 

国土交通省なる天下の管理者の発注先としても出鱈目でその管理責任も疑わなくてはなりません。

 

 それはそれは高木の松、56本の管理は大変でしょうよ。

よってこの住民からのクレームは所謂「渡りに船」だったかも知れません。

時折発生する管理費の計上、住民からのクレームの大元から逃れるために今回の伐採は「悪い話」では無かったのです。

面倒で時折頭を痛める仕事から一気に解放されるのですから。

 

 ところが良識ある市民からの逆クレーム。

「23本だけ切ります」への転換はクレーム大嫌いのお役人さんたちの浅い発想のなせる技なのでしょうか。

また、「街路樹」が危険だとか雨樋に枯葉がたまる、掃除が大変だから「全部切ってしまえ」などという論法は日本全国広しと雖もそうは聞きませんね。

日本全体で、樹木を大切にして今後増やしていこうという風潮にあって街路を守るため住民が協力し合っているところが多いなか、おかしな理由がまかり通るものですね。

だいたいその人たちが住居を建てる以前から松は立っているので本末転倒もいいとこです。あれだけ樹齢もある立派な松たちが気の毒でなりません。

彼の地ではあの枯れた松でさえ何億円もかけてモニュメントを建てようというのにここでは生きている木々をバッサバッサと切り倒してしまうというその神経が理解不能です。

世の中には全うな考えを持ったお役人さんもいるのに件のことはとても残念に思う次第です。

 

 もっと深く考えると堤防の松並木というものは本来堤防を崩落から守るためにあるものです。

堤防上にあって堤防に根を張り巡らし堤防内の水分のバランスを保つ役を担っている松を切ってしまったら堤防自体の耐力が弱体化してしまうことは当たり前の事で、水害に対する抵抗力は落ち、いずれはそれらを切らせた自らの安全を脅かしてしまうことに繋がるでしょう。