清浄光寺 の梵鐘 時に流された数奇 捨ててこそ

1日での退院は有難いこと。

24時間にも満たない「軟禁生活」でしたが得たものは大きいものがありました。

まぁとにかく入院での病床は一言辛い。まだまだ人への気遣いをする心も残っていれば羞恥心もありますので。

 

点滴拘束の時間にあって結構に困るのがトイレ。

水分を摂っていないのにそれをもよおすのは点滴からでしょうね。我慢も限界になってそれを所望すると「ハイ尿瓶で」となるわけですがそれは私の齢では結構屈辱に思います。

自分より若い看護師の女性に「ハイこれ」とそれを手渡すことは申し訳ないことと理解していますし(仕事とはいえ)そもそもどうやってそれにうまいことやるのか教えてもらったことがないワケで(だいたいわかりますが・・・)そもそも治療室には複数の人がいますからね。

要はそこまで開き直れていない自分があるのでした。

 

朝方、ナースコールが響いて「尿瓶!尿瓶!」とお爺さんらしき人の大きな声が響いていましたが、私はまだそこまでできていません。

本当にナースのお仕事は大変です。

私など何から何まで何度も「ありがとう ありがとう」の連発でした。

そこを早い所脱出したく思い、朝から婦長さんに懇願。

「どうしても今出たいの?」との問いに「勿論今スグです」と返せば「先生のOKがでたらね」で、ただただそれを待ち続けていました。

1日も様子をみてもらえば十分でしょう。

先生も99%大丈夫とのお墨付き。

 

夜明けとともに目が覚めて、「何もすることが無い」ということは精神的にオカシくなっても不思議はありませんね。

ナースコールは一度も押さないというのは言うまでもないことですが、できるだけ「他者の厄介になりたくない」という気持ちでした。

少々病棟もうろつきたくなりましたが自制し、ただ瞑想。

奥方はここのところ救急外来で待ち惚けが多すぎることに文句を言っていました。母に叔母さんそして私ですからまぁ仕方ない事です。

 

ちなみにトイレには点滴を外してヘパリンロック。

独りでのんびりトイレに行くことに幸せを感じるばかりですが、実は尿瓶でやってくれた方が看護師さんたちにはラクなのだと思いました。トイレの外まで同行するのがルールのようで手数をかけてしまいます。その後MRIの結果から問題なしということで点滴を外してもらいました。

ただし一晩は針が差し込まれたまま。退院間際にそれを抜いていただき完全フリーになったのでした。

 

退院には私の「元気だよ 問題ないよ」(だから退院させて)の一芝居もありましたが、病床に厄介になりつづけたとしても変わることはないでしょうしとにかく自由になりたかったのでした。

 

さて、以前記した清浄光寺

正月の箱根駅伝では毎度こちらがサラッと紹介されていますね。浄土系の宗旨で以前も戦国期の大名(斯波氏、勝間田氏、横地氏等)の帰依について記しました。

寺の名も「藤澤山 無量光院 清浄光寺」で藤沢(→勝間田氏)はともかくとして無量光も清浄光もともに阿弥陀の別名。

ですから私にとっては親しみやすいお寺でもあります。

 

その寺の本堂の前にある鐘楼堂の梵鐘は結構に由緒あるもので奇異な時の流れに翻弄されています。

1356年製ですが小田原北条の台頭によって当地も浸潤。

戦地となって焼失し、梵鐘も小田原に持ち去られたといいます。

 

持ち去られたあと、北条家が滅しても尚、梵鐘は寺に帰ることができなかったようです。小田原の寺は「返してもいいが代わりの梵鐘と交換」を主張したとのこと。

そこを有徳人の力によってそれが達成することができ元に収まったということでそれを数奇な運命と呼ぶのです。

 

最期画像は拙寺本堂内に掲げられたカレンダーの文言。

「捨ててこそ」は私の頭を冷やす自戒の言葉。

 

 

毎度私は「こだわり」続けていますので。

当地の檀家さんの女流書家にリクエストしたもの。

時宗開祖一遍は空也の影響を受けその「捨ててこそ」の重大意義を語っています。

「むかし空也上人へ、ある人念佛はいかが申すべきやと問ひければ「捨ててこそ」とばかりにて、なにとも仰せられず~」

しかし羞恥心は特に捨てられない見栄っ張りの私。

痴呆になるということは実は「すべてを捨てられる」ことになるかも・・・

 

 

 

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コメント: 5
  • #1

    お祭り大好き (金曜日, 30 4月 2021 00:26)

    退院おめでとうございます。
    奥様の有難さを嚙み締めてください。
    お互いコロナ禍に引き続き留意しましょう。
    軽く済んだことを知り、安心して就寝します。

  • #2

    小山昭治 (金曜日, 30 4月 2021 08:54)

    退院、良かったですね。
    本当に良かった。良かった。
    私の枕経は予約しておきます。どうか私より後でお彼岸へ行ってください。
    言いたくはありませんが、年は確実に経ています。
    やるなとは言いません。
    ほどほどにお願いします。

  • #3

    お祭り大好き (金曜日, 30 4月 2021 09:25)

    ご承知かも知れませんが、中井均さん・柴裕之さんのシンポジウムを記します。
      6/12土13:00~16:00 静岡市民文化会館 5/7金から申込受付
      「駿府城の天正期(豊臣方)天守台や金箔瓦」
      ※千田嘉博さんが異なる考え(徳川家康築城)を発表済
    なお、い~らの井沢元彦さんの講演は、5/10月から申込受付です。
    双方とも県外在住者につきコロナ次第で中止かも?

  • #4

    今井 (金曜日, 30 4月 2021 19:29)

    お祭り大好き様
    静岡市民文化会館のシンポジウム情報含めありがとうございます。
    おかげさまです。ありがたいことです。

  • #5

    今井一光 (金曜日, 30 4月 2021 19:32)

    小山様
    ありがとうございます。
    かすり傷で終わったことはなによりありがたいことです。
    おかげさまを強く思います。