2020報恩講 終了 波さん打敷の現物初公開

東京の土曜日294人も凄いですが、静岡の30人という数字には仰天しました。

どちらの地域にあっても「ちょっとヤバそう」な雰囲気が漂いだしました。

そんな中、昨日は拙寺の報恩講が開催されました。

本年は恒例の寺楽市はナシで物足りない報恩講でしたが・・・

 

たったの1日、午前・午後・日没の3回に分けてよりカンタンに行いました。

もっとも3回目の「日没」の参加者はゼロ。

盂蘭盆のその時間帯は堂内に上がる方は少ないなりにもいらっしゃいましたので拍子抜けしたことは確かです。まぁ致し方ないことですね。

 

当所は降雨予想でガッカリ感ありましたが、午前の法要ではまったくセーフ。

午後からの法事前に少々の小降りの時間帯がありましたがやはりセーフ。

有難かったのは気温が高めでほとんど無風、寒さを感じませんでした。一番気にしなければならない湿度の問題もクリア―できて終わってみればまずまずの環境とよろこんでいます。

 

そもそも本堂は開けっ広げで密閉状態にならず、事前に加湿器と石油ストーブを用意していましたがそれらの出番はありませんでした。

 

午前の法要は息子が導師役で私がキン。

久しぶりに彼のお勤めの発声を聞き、親バカで申し訳ありませんが第一声聞いて「上手かも・・・」を思いました。

内心「うまいこと(継承が)いっているのか・・・」と勝手に満足した次第です。

私の無茶振りで「ハイ16代目どうぞ・・・」と言えばそれに応えて

社会人・・・」のご挨拶も無難に。

檀家さんにとっては私のハチャメチャ風より断然いいでしょうね。

ただし車の趣味はそれを通り越して無茶苦茶の無鉄砲。

当局を敵に回すな・・・と苦虫を潰す始末。

 

息子は「明日は仕事」といいながら愛車のチェイサーツインターボ改を駆って夕刻には横浜へ帰りました。

近所迷惑(大口径マフラー)で面倒くさい車、「こんなので車検が通るのかよ」と思うくらいです。

まぁ一言で「バカ」なのですがね。私の若い頃にはその手の輩はまたぞろいましたが何せ「今時」、びっくりさせられます。

 

その車が本通りに出てアクセルを吹かした時の音(それでも脱着式のサイレンサーを着けている)が寺の門の外まで聞こえてきました。

「お給料を車に継ぎこむな!!」と忠告しましたが今彼が一番にのめり込んでいるものですから何を行ってもそれはムリの様。

今は早いところ何事もなく醒めてくれるのを待つだけですが・・・

 

さて、今回の報恩講の出し物は波さんの打ち敷の現物。

初めて御堂内での初公開です。

痛みも進んでいるようでこの方式での公開は最後になるでしょうね。

梁に吊るして裏表が見られるよう回転できるようにして紹介させていただきました。

前回は盂蘭盆会法要にて絵葉書にしたものを配布して紹介していましたが、今回は着物のタイトル「石橋-しゃっきょう」の方のお話をさせていただきました。

 

「石橋」について着目すれば「獅子と牡丹」(つきもの)です。またこちらには描かれていませんが寂照法師(大江定基)の目的・・・は文殊浄土(獅子は文殊菩薩ののりもの)というお話が題材でした。

そしてその寂照法師を名乗るまえの大江定基としての彼について追加してお話させていただきました。

 

そこには「死」というものの無常性がこの「石橋」という演目のウラに隠れていて大江定基という人物とそのストーリー性を

理解しえて、将軍正室・側室のお付の女中として波さんが頭角を現すことができたのかも・・・ということも。

要はアホでは大奥女中は務まらなかっただろうということですね。キレキレに動けて頭がよく、古来の文学から有職故実に至るまで詳しくなくては・・・

 

着物(最大に高価なもの)を誉めること=媚びを売る(気に入られるための)最大要件だった時代。

よってその日の着衣の柄の「タイトル」から話を始め調子を合わせる努力が必要になるのですが、結局はそこのところのお勉強ができていないとお話にらないという職場だったかと思います。

 

私からすればあり得ないくらいの職業です、大奥女中。

 

②が石橋、③が御所車。

④は御所車の裏側から。夏掛けの薄手のものでライトから透けて見えます。おそらく端切れも一緒に縫い込んだのでしょうか。何かが写っています。

文字らしきものは見当たりませんでしたが。

石橋の方は裏地も少々厚手でよくわかりません。

中に何もナイとは言い切れませんがね。

 

コメントをお書きください

コメント: 2
  • #1

    野村庄右衞門幸正 (日曜日, 08 11月 2020 22:47)

    波さんの着物、1度拝見してみたいものです!当時は当然ミシンなど存在しないわけですから全て手縫いですよね。ひとつの着物を仕上げるには途方もない時間と労力が必要ですね。縫い目はどんな感じなのか気になります。

    趣味のレザークラフトで大型バッグに挑戦したいと考えていますが、裏地を布で作るのは難易度高いなと感じています。なぜならミシンが無いからです。
    昔の職人さんたちは本当に凄いなと思っています。

  • #2

    今井一光 (月曜日, 09 11月 2020 07:15)

    ありがとうございます。
    葵の紋が入った方の柄は殆ど刺繍です。染色型染と比べればその制作工程と時間労力とも
    雲泥の差でしょう。
    尚、生地には裏地を重ね合わせていて裏側の処理は見ることができません。これは単体では薄すぎるということですが、刺繍もほつれと脱落箇所があって劣化も進んでいます。