最上のご褒美は身に着けているもの 紋付無紋セット 

今年の雨季は長すぎでしたが昨日やっと梅雨明け宣言。

台風その他大雨の連続には腹立たしい思いをさせられましたがコレで気分も晴れやかに。ただし猛暑が続くとのこと。

私としてはまったくOKですがね。

 

先日の浜松の大雨では奥方の親類の息子の新車が水に浸かって「おじゃんになった」と連絡がありましたが、当家の場合は雨漏り箇所と漏電の対策が急務です。

雨漏り対策は昨日で三度目となりました。

屋根の上で再びじっくりと見廻すと壁と屋根を接続する場所に小さな開口部を発見。

今回はシリコン樹脂ではなくエアコン配線等に使用する「粘土」を突っ込みました。

 

漏電箇所は庫裏西側の客用トイレの外にあるブロウと決め打ちです。コンクリートの床面と近すぎるのです。

この家には分電盤が4箇所ありますが、ブレーカーが落ちるところは決まっていますので。

設置場所のかさ上げと覆いで囲おうかと思っています。

 

さて、なみさんが江戸城で貰ってきた着物その1について記しましたが本日はその2を。

何といってもその1には裏書があって出所がわかったことは素晴らしき事でした。

そしてその2のよろしき事はデザインがより豪奢な感じで何よりあの葵の御紋が光っています。

 

史料館の長谷川氏がその方面の専門家にあたってくれましたが、武家奥方の着物などの場合、紋付と無紋のものはペアで用意されていることがあるとのこと。

ということで波さんも二着いただいたということでしょう。

2つとも同様の色味、紫地ということもそのように考える理由でもあります。

 

現代は子供だましならともかく、とかく「褒美をあげる」というシチュエーションはなくなりました。しかし今は儀礼の気持ちを表すに何かしら品を探すとなればどこかの店で調達することになりますね。その手の店は市中どこにでもあって手を回せば大概のものは手に入るはずです。

 

ところが古くから配下の者の功労の対価、褒賞に何か品物を渡して褒美とする場合、心底その働きに感銘を受けたような「特筆すべき」を感じれば、「身につけていたもの」「身辺近くにあったもの」を褒美として渡すのが常です。

武家主従であれば刀剣だったり茶道具だったり・・・でした。

 

大名家奥方の場合、主人が従者に対して褒美として渡す物は簪や帯、着物の類、要は「身につけていたもの」ですね。

ということで私が思う当時最上級の女性への褒美の品が着物だったのかと思うところです。

 

その着物二着を処理場行きから救出した当家奥方が言うには

「以下の画像の如くの品がもっとあったらと考えると惜しまれるが、波さんの意図「打敷にして寺に寄進」することは着衣としての機能を奪うことは勿論、転売価値をも限りなくゼロにするという効果によってこれまで残ったのだろう」と。

なるほどです。

 

④画像に朱ろうそくの垂れた痕がわかりますが実際に打敷として使用していたことがわかります。

 

それは合点がいきました。

高級な着物ならばカンタンに買い手がついておカネに替える事ができましょう。

それがお寺でしか使えない打敷として姿を変えられてしまい売り捌きたくてもそれができない・・・。

 

明治の困窮期、戦中戦後を通していますのでむしろ打敷に加工した波さんを家の者は怨んだかもしれませんね。

とにかく火災・地震の災禍にあうことが無かったこと、桐の箪笥に入れられていたこともありますが、そのおかげで寺にこれまで残ったという奇特を得たのでしょう。

波さんありがとう・・・です。

 

以下画像は史料館長谷川氏より参考までに提示いただいた各大御台関係の小袖・単衣。

どちらも有名美術館所有物で、「伝〇〇」という但し書きはあるようですが、この手のものの本来の出所はまず「わからない」というのが常。推定の域の様。

現在のように名前を刺繍入れするような習慣はありませんから・・・

 

波さんは裏地の裏書にしっかりその由緒を書き残してくれたことによりハッキリしたわけです。着物ではないので墨を入れるのもお気楽ですね。

 

あとは専門家(日本服飾史)の検証を待つだけですが、予算の関係で来年以降になるような。

のんびり気長に待つことにします。

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コメント: 4
  • #1

    小山昭治 (月曜日, 29 7月 2019 10:22)

    いよいよ おもしろくなってきましたね。推理、推察・・・いいですね。
    別件で  日曜日早朝お墓参りに言ったら蝉の声でびっくり。
    思わず 笑っちゃいました。蝉の声の大合唱。
    早朝の お寺に響く 蝉の声

  • #2

    今井一光 (月曜日, 29 7月 2019 21:14)

    ありがとうございます。
    打敷鑑定について「お楽しみ」というところです。
    また境内早朝の蝉の大合唱はそれあっての「夏」。
    「本格的」を思います。
    しばらくすると夜間も幻聴として蝉の合唱が聞こえてきます。

    要はずっと頭の中で蝉が鳴いているのですが。

  • #3

    野村幸一 (水曜日, 31 7月 2019 09:24)

    これらの宝物は取り壊した蔵から出たものですか?
    徳川葵が入った着物があるなんて凄いですね!もうちょい家紋のアップが見てみたいです(^^)

    先日の選挙は残念でしたね。当選して欲しかったですよ。次回に期待したいですね。

  • #4

    今井一光 (水曜日, 31 7月 2019 17:52)

    ありがとうございます。
    着物改打敷は蔵ではなく駐車場の物置です。
    庫裏はまだまだ父母祖父母のなんやらかんやらに私どもの引っ越しを
    繰り返すごとに新調した家具や趣味の品が散乱していますが
    私どもがこちらに来てスグに居場所を確保するために箪笥などを物置に突っ込んで
    いました。
    その物置の箪笥の中から出てきたものが今度の打敷でした。
    蔵の中でしたら桐の箪笥であっても虫に喰われて無くなっていたでしょうね。

    今回、殿様が打って出た事は少々拙速の感。
    地固めして再挑戦していただきましょう。