旧地名変更無念 伝通院前「表町」と空襲ムクノキ

「寒くなりましたね」は最近の御挨拶。

しかし「これからだ!!」とその厳冬期の楽しみについて嬉しそうに語る方がいました

シラスウナギの漁業権を持っている人で、相良の拙寺檀家さんの中にも数件あります。

 

その年の漁獲と稼ぎについてよく話になりますが、世に云うように必ずしも「不漁だ」とは言いませんね。

それはそれは自然のモノですから当たりはずれがあって「ダメな時は全然ダメ」のようですが、ザルを一回すくってシラスが一面にビッシリということがあって、それを経験すれば寒さも一気に吹っ飛ぶとのこと。

ちなみにシラス1匹が200円以上で引き取られるそうで、そんな時(ザルびっしり)は「数万円どころじゃあない」とのこと。

 

シラスウナギの漁場は大抵、川の汽水域がポイントとなりますが

(ウナギは海から入ってそこで真水に体を慣らす)、どなたでもその件はわかっていますので場所取りが肝要となります。

ということで稼ぎのためには家にも帰らず、ずっとその場に滞留して他のライバルを蹴散らすことになりますが、何せ真冬ですので体を壊します。

バケツ等を置いて車の中から監視する(夜を待つ)そうですがそれでも実際、無理がたたって亡くなった人もいるくらい。

楽しみもほどほどにしなくては・・・

 

小遣い稼ぎができるとなればまず現れ出るのが密漁者。

時々お縄になった件が報じられていますがそれらは氷山の一角といいます。

世の中インチキばかりまかり通っている感がありますが、その数値の矛盾には驚かされます。

それは前年の採捕許可都道府県のデータで、漁獲量が5.3トンの報告。そして実際に養殖池に入れられた数字が8.9トンといいますから3.6トンが出所不明なのですね。要はインチキがなされているということ。

 

東北地方ではナマコやアワビなどの海産物の密漁が年ごとに増えているとのこと。高額取引のなされる海産物は特に一攫千金の対象になりやすく、漁業関係者以外の組織的密漁が流行っているようです。

彼らは捕まったとしても現行法の「懲役3年以下、罰金200万円以下」にいわば守られているようなもので、たとえその罰金を払ったとしても「捕り徳」になってしまうことからその手の稼ぎ手は増えるばかりのよう。

ということで今般「漁業法」の改正の方向が。

「違法に捕ったり密漁品を譲り受けた」場合、懲役3年以下は同じでも罰金が200万円→3000万円と破格の値上がりとなります。

果たして抑止力となるのかどうか。仕置きがキツくなれば無理な逃走劇が惹起されそう

 

いずれにせよ真っ当な人々はそのような件とは関係がありませんので別の世界の事とは感じますが・・・、とはいうものの人間世界の事ですから私どもにも責任があります。

特に夏になると「土用の丑」だなんだのと(それ以外にも)やたらと鰻を所望します。

シラスの輸入に関してもインチキを指摘されています。ワシントン条約の規制もありうる話で「好物」「おいしい」ものに天罰が落ちるかも。

世に云う漁獲減少がホントならやはりそれは問題です。

2~3年完全禁漁にするくらいの英断が必要なのかも。

 

人間の行いについて。

夏場に東京を歩いた際に見かけた善光寺坂のムクノキ。

昭和20年の空襲により上部が焼けてしまったそう。

しかし枯れることなく現在もいたって元気に葉を茂らせていました。自然界生き物たちの復活力は驚異的です。

これも自然治癒力なのでしょうね。

空襲の激しかった東京にはこういった大樹が見られますね。

麻布善福寺の銀杏もそうでした。

 

この辺りの地名は今は文京区小石川で耳に馴染みがありますがこれは新しい地名。江戸時代の小石川村からですが・・・。

こちらの地名は大元は「伝通院前表町」そして明治に入って「表町」と簡略化されたとのこと。しかしそれも何をもってその「表」であるか・・・とかなんとかのクレーマーが居たのでしょうね。

伝通院は徳川将軍家菩提寺でした。

④はムクノキの近く澤蔵司(たくぞうす)稲荷(場所はこちら)。