蔓茶・ヘビ茶と脅かされ 乗用型茶葉摘採機 祖廟茶釜

本日もペットボトル茶のネガティブニュースを。

数日前、1番茶が美味しい理由を簡単に記しましたが、昨日は「やはり手摘み一番茶がなによりも美味い」というお話を伺いました。

単純にそうはいわれていますし、それこそ当然の事とは思っていましたがその方は、その方法(手摘み)こそ本当のお茶であってそれは「雑味が無いから」であると主張されていました。

その手摘みに対して現代において真っ盛りというか導入されて以来現代の摘茶というものに大変革をもたらしたものが機械摘みです。

 

大規模農地と効率化に一役買って緑茶飲料、特にペットボトル飲料製造には欠かせなくなりました。

その茶摘み機械は「乗用型茶葉摘採機」と言います。

今、緑茶生産従事者での離農者は当地にてもかなり増えていますが、その理由は「作っても作っても価格の低下」に見舞われて自転車操業的になりつつあることと高齢化そして後継者ナシです。農家としては例の5B以上に稼ぎと未来が見えない茶農について子供たちに向かってそれを「継いでくれ」とは言えませんね。一同「外で給金を貰った方がぜんぜんマシ」と。

 

そこで先祖伝来の農地を手放すことになるのですがまずひとまずは農地そのものはそのままにして貸与する方法を模索しますね。どなたかがそれに名のりを挙げてくれれば幾らかの貸与料は期待できます。

ところが借り方不在の場合となれば雑木林に成り果てるという結末です。その借り方がその判断材料となるのがその乗用機が畑内で機動できるかどうかという点のみ。

要は平坦(広い土地)以外の畑はダメなのです。台地上起伏の多い当地の茶畑で耕作放棄が増える理由です。

 

ということで「乗用型茶葉摘採機」がどちらの畑に於いても活躍していますがその方は「だからマズイ」と一蹴。

茶摘み現場での適宜選別ができるかできないかということですが、二番茶三番茶の収穫ともなる盛夏の候といえば茶葉以外の植物に生物の繁栄は「付き物」です。

 

茶畑茶葉に付く茶以外のものの存在を無視できないといいます。それが手摘みかそれに近い昔ながらの機械摘みに於いては目視しながらの現場臨機が利いて、特に手摘みであれば異物の混入は有り得ませんね。

 

そこへ来て人力とは比べ物にならない「乗用」が畑を駆け巡った場合は刈込みは一気。まさに機械的、細かな配慮はまったくなしとなりましょう。

その方が仰っていましたが、火入れ蒸し行程で除かれるにしろ、「美味くない」のはそのせいだとのこと。

 

蔓ほかあらゆる雑草が茶株の頭に顔を出していますからそれらもいっしょくたに刈り入れられていることは大いにわかります。「マムシの頭が入っていたこともあった」と。

「精力がつく」と割り切れればいいかも知れませんが、本当の「茶の美味さ」は「リーズナブル&コンビニエンス」では手に入らないと。

 

しかし当地の茶農家はその2番茶3番茶に経営の主軸を移しています。ペットボトル飲料会社との契約農家というカタチですね。時代の流れと言えば皮肉なものです、1番でなくて2番3番なんて。

 

茶の接待はお寺に於いて欠かせぬもの。

画像①②は大谷祖廟の茶釜。本日の祖廟はきっと大勢の参拝者で賑わうでしょうね。

 

③④は秋の八風街道、茶ではなく稲刈りの図です。

私は何度もその道を利用していますが鈴鹿超えはかつて冬に入る前に往くのが常道だったことが察せられます。八風とは八峯からとその険しさを示唆しています。

自然の流れに逆らわずたんたんと準備をしてから取り掛かったのが古き良き日本人の姿。安直はダメですね。

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コメント: 2
  • #1

    小山昭治 (水曜日, 15 8月 2018 09:33)

    手摘みで採った葉は手摘みの葉だけで製茶しなければなりません。
    と 言うことは量が無ければ効率が悪いことになります。
    かっては製茶工場がたくさんあり、共同で手摘みで摘んだ葉を集めて
    製茶し、そこへサイトリが見本を集めに来て業者へ持って行き値段を決めていました。
    それぞれ独自のお茶(味)がありました。
    それでも その次は独自のお茶が合組により薄められていきました。
    自園自製でなければ、そして値段も高くなければ(量が少ないのですから)
    採算が取れません。
    今 残っている御茶屋さんは独自のお茶を独自の消費ルートに乗せてやっている人達です。厳しいですね。
    そしてお茶産地の相良はお茶産業によって商店も成り立ってきました。
    お茶の衰退と共に商店も衰退しつつあります。
    商店も独自の品を売らなければやっていけません。
    田舎では独自は消費も少ないのです。都会なら人口密集により
    独自が生きます。採算が取れます。あるいはネット販売ですかねー。

  • #2

    今井一光 (水曜日, 15 8月 2018 19:09)

    ありがとうございます。
    お茶農家の衰退はストレートに当地経済の沈滞に繋がっているのですね。
    その中、茶業界の利益偏重と利潤集中による不均一なものを生んだ
    ペットボトル茶への恨み節はそこかしこで耳にしますね。
    健康ブームにのってペットボトルの如くの水臭い茶ではない
    本当のお茶の味を再度広めたいものです。