奈良国立中庭 国東塔との出会い 外からチラ見して

名古屋城の本丸御殿が完成して一般公開(6月8日)前のお披露目があったとニュースで

最近は名古屋の方に足をとめていませんが、その工事はほとんど「ず~っと」行われていたというイメージ。やっとこさ完成したということですね。

天守閣の方は建て替え工事に入りますので当分の間はこの本丸御殿にお客さんを誘引するということでしょう。

 

「これから暑くなりますがエアコンやトイレ等の設置はありません」との事前アナウンス。

これは当然のこと。歴史的建造物を忠実に再現すればエアコンなどを設けられるワケもなく・・・。

 

かなり以前、夏季のお休みに合わせて犬山城天守の雑踏の中、家族で登ったことがありましたが周囲の人たちの熱気と汗臭さで閉口した覚えがあります。歴史的建造物ですから仕方なし。

人が集まる時に行くのがイケなかったと・・・。

 

また名古屋城にエレベーターを「設置しない」方向で決定したというニュースもありましたがこれも「当然」の結論でしょうね。日本の古建築物再建にあたっては「忠実に再現」していただきたいという気持ちがあります。

「名古屋城遊園地」でしたらどのようなアトラクションやら設備工作をされてもまったく問題なしですね。

 

さて、昨日の奈良国立の建屋外、拝観料無し、タダで見ることができる石塔(奥方が言うには「まったくうれしくない」とのこと)について記しましたが、本館の中庭にも大振りの石塔があって感激させられました。

あの時皆さんと一緒に開館前の博物館のチケット売り場に並んでいたのですが時間が勿体ないという理由で「ちょっと一周してきます」とその場を離れたところ、偶然に外から見つけました。

 

あとからその石塔の存在について皆さんに話すと(おそらくまったく興味はないかと思われたのですが)、一同「中庭へは行かなかった」とサラリ。

私はその際、別のお目当てがあってそちらの確認に向かっていたのでしたが外部から庭園内に立つその石塔のシルエットが目に入って「膝を叩いた」というワケです(①画像)。

皆さんにはその感動を話すに「静体視力」などと意味不明な自慢をしていましたが・・・。まぁ相手にもされないでしょうね。

 

博物館にある石塔類はホンモノ指向ではあるもののその性質としては「ディスプレー」「お飾り」に近い演出です(本来それらがあるべき場所ではない)。

よってこういう場合、心の隅にもやもや感は残ります。

しかし美術品、芸術品と考えれば「まぁそれもいいか・・・」と勝手に納得している私がありますね。

 

確実にこれは建碑者の意図に反していることであり、墓塔という主旨であれば被葬者の意思をも無視しているということになりますからね。

まぁそんな堅い事を言わずに石塔美術を味わうというのであれば嬉しい出あいではあったのでした。

 

一瞬遠目からは水輪と火輪の形状から五輪塔・・・と誤認させられますが実はこちらを凝視すれば五輪塔でも宝篋印塔でもない形状であることがわかります。

 

こちらが「国東塔」(くにさきとう)。

日本古建築では第一人者の天沼俊一博士が命名した石塔の名です。

私はそちら国東にお邪魔したことはありませんが大分県の国東地方に多い形式によりそう名付けられたと。

等身が「平面円形」と球形に近く五輪塔の水輪と見違えるところ。そしてその等身は無地というのが基本。

 

川勝政太郎氏の解説によれば・・・

「基礎は側面二区または三区に格狭間を作り、上端に平面円形複弁の反花座(かえりばなざ)があり、その上に上向きの蓮座が設けられるか、または反花座のみとする。この基礎上の特別な蓮座などと、相輪の宝珠の四方に火焔状を刻み出すことなどが、国東塔一般の特色である。」

 

最後の画像3つが名古屋城本丸御殿。紹介画像キャプチャー。

開館後スグはきっと拝観が集中するでしょう。