大家といえば家主長兵衛 事情変更の原則 山下青厓 

私が時給520円で沖縄で遊んでいる時、「こりゃあまずい」と将来に一抹の不安を感じて取得したのが宅地建物。

バブル真っ最中の時代でしたし寺に入るにはまだ若すぎましたからね。

 

どこかで記したかも知れませんが取得後も海で遊んでいましたから、更新講習で隣の席の不動産業社長と思しき女性から、当時の茶髪ロン毛真っ黒の私に対して「ホストでもやってんの?」と声を掛けられたのはお笑いネタ。

その主任証を提示するような仕事には一切就いたことはありませんが、数度の更新を経て現在休眠状態です。

 

檀家さんの息子(当家愚息の1つ上)が先輩に誘われて会社を辞めて、不動産業の世界に入ったと聞きましたが、失礼ながらその「証」を持っているとは思えませんので(まともな仕事ではないな)「ふ~ん」と聞いていると、その彼がその親に言った言葉は「地上げ屋さんになって稼ぐ」でした。

まぁ親に対する「将来の生活」の不安を払拭する言ではありましょうが、私の腹に抱いた気持ちは「甘い !!」いや「甘すぎる」。

 

どう、その先輩が彼を説得したのかはわかりません。

しかし酷い表現ではありますがその「地上げ屋」の言葉から推すに、オレオレ詐欺の「出し子」程度の「兵隊」をイメージします。

不動産屋といえばスーツと革靴のイメージで若衆はちょっとした憧れを抱くのかも知れませんが、果たして交渉威圧のお人形か「その他大勢」の木っ端役の立ち回りとしか思いつきません。

 

だいたいそんな「おいしい話」が転がっている筈もなく、犯罪をも匂わせますからね。

是非にお縄になることだけは踏み込まないで欲しいと考えてしまいました。

 

「失礼な事を言うな」とのお叱りは重々承知。

まともな不動産の業務に励む方もおられましょうが、ここは彼の「地上げ屋として大成したい」にあまりにも危うさを感じたのでした。

 

私の宅建免許取得の励みにと連絡しあっていた後輩の友人は免許取得後、大手の不動産会社(アパート・サブリース主体)に転職して部長にまでなっていましたが、独立して都内で不動産屋を開業したのちやはり数年で見切りを付けて同業種の大手に再就職しています。

どちらの世界でもそうですが「普通の経営」をしていたら、まともにやっていけない世界なのです。ということで真っ先に「脱法」に走りやすいのもあの世界。

 

さて、昨日の銀行屋さんの続き。

上記アパート経営についての大家さんの破綻が増えている事はここ10年くらい耳にしていますが、そろそろこちらも破綻が囁かれているのが「かぼちゃ」ですね。

 

こちらは「かぼちゃの馬車」が正式名称ですが本体はスマートデイズという会社の運営によります。

流行りというか女性専用の「シェアハウス」(顧客には安全と家具等事前設置による初期費用の安さが売り)。

 

要はアパート経営(サブリース)のシェアハウス版で、それを「皆さん喜ばれています」「皆さん儲かっています」の営業文句があったのか、サラリーマンがバンバンその「シェアハウス」を建築して「夢破れたりの大借金」を抱えるという顛末と、会社本体も今後破綻寸前の有様の事です。

 

サブリースとは「転貸」の意ですが要は大家に土地と建物を提供してもらうことです。

そして自社の息のかかった?業者にその「ハウス」を建築させたうえに「一括借り上げ」して「家賃保証」をします、というのがセールス口上。

 

問題点をカンタンに洗えば、一言で「そんな美味しい儲け話はない」ということになりましょう。

その「保証30年」とかいう嬉しいシステムは一瞬「空室」という未稼働リスクから離れられると飛びつきたくなるのでしょうが、コレは今やサブリース定番のテクニックです。

 

標記、「事情変更の原則」という世界的な法規範の「原則」があります。

詳細は各ググっていただければと思いますが、これは「契約内容の修正を請求できる」ということです。

よって当初決められた家賃の保証など「諸事情によって減額できる」ということです。

喩え支払いがゼロとなったとして、「当初の話が違う」と暴れた(提訴)としても、まず負けますね。

 

負けるいうと語弊がありますので「和解」として幾らかの金額をおしるし程度に支払われて「手打ち」を強制されるということです。裁判の維持などできようがありませんし。

 

判例としてはまずそれにのっかって(そうは言いませんが)「騙されるヤツが悪い」というのが大抵の結末です。

不動産会社とのサブリース契約が終了するとなれば「ハウス」の経営、雑務色々は家主がすべて引き受けるワケです。

今世に溢れているサラリーマン家主が片手間に「投資」したそれをこれまた維持できるワケがありませんね。

 

最悪の問題は、借り入れを起こしたその返済。

当初は全室満室の保証をベースの皮算用でしたが、空室があれば一気にその計略は瓦解します。

そこでそれらサラリーマン家主そのものの破綻が待っているということです。

 

まぁシェアハウス一棟となれば建設費と備品代で億単位。

何故にそんなおカネがあるの?といえば理屈はカンタン。

銀行からの借り入れです。

おそらく不動産-建築屋とのルートがあるのでしょうが、いとも簡単に億単位のカネの融資がOKされているという事情。

「銀行融資っていったいどうなってんの?」と首を傾げたくなりますね。オカシイのですよ。

 

拙寺では庫裏・会館の建設費用について地元金融機関に融資を打診したことがありましたが「寺は担保にならん」と一蹴されたことがありましたので・・・。半分八つ当たりです。

 

要は「ごっつい儲けにならん」ということでしょうね。

利ざやの取れないご時節とは言いながら、銀行は「無茶やりまんなぁ~」の一言です。

ちなみに上記「かぼちゃ」の件、融資銀行は「スルガ」のオンパレードの様。ちょっとヤリすぎでしょ。「スルガ」さん。

 

さて表記「家主長兵衛」(いえぬしちょうべえ)は「梅雨小袖昔八丈」-「髪結新三」、に登場する新三の大家。

腹の中はまっ黒そうなワル風ではありますが、そのもっと酷いワルの新三からカネを巻き上げるために導く話の上手さは爽快で唸らせます。

 

家主と店子の関係の何たるかまで持ち出していますが、両者には本来こういったコミュニケーションがあるべき姿であって「転貸」で儲けようなどという腹積もりはきっとどこかで破綻するということかも。

 

画像①は先日某家に専門家お二人を連れて拝見させていただいたこちらの件、H氏が制作した資料が出来上がったとのこと。

「山下青厓」なる画家について勉強させていただきました。

②は「句仏」(こちらも )。

さすがちゃきちゃきの御門徒の商家です。

こちらの御所有にも感動した次第です。

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コメント: 2
  • #1

    小山昭治 (土曜日, 17 2月 2018 08:50)

    青厓なかなかですね。カワセミの図は、あの鋭い目つきがよかったですね。

    本堂前の紅梅一輪、これもなかなかですね。春を感じます。
    野村さんの紅梅、白梅も咲き始めました。
    朝の散歩でも日の出を見れるようになりました。

  • #2

    今井一光 (土曜日, 17 2月 2018 12:11)

    ありがとうございます。
    春は着実、これから歩みも早まることかと。
    しかし油断大敵です。
    朝はまだまだ冷えますので、無理せずにのんびりでいきましょう。
    私はいつもののんびりですが。