伝わってこない少子化対策 経済山師の横行  銀骨

先般ニュースで2016年に生まれた子どもの数が100万人の大台を割って98~99万人になるそう。この数字は1899年の統計開始以降で初めての100万割れということ。

もはやこの右肩下がりには歯止めがかかりそうにないという感。

お上は年金を積み立ててくれる頭数が揃わないことへの危惧ばかりに頭を悩ましているようですが、「人口の減少」というものは最近になって言われ出したことでもなく、これは長期スパンでその改善を試みるものです。

見たところ殆どその手のことに直接関わる「これぞ」という策は出てきませんね。

 

この事の直接原因は「子供を産める女性が少ないから」と述べているそうですが、国民のその世代は総じて「子供をたくさん産める環境にない」と思っているのでは・・・?

その点を考えないといけないのですがね。

要は子育てに対する支援が「手厚くない」という語に尽きるのでしょう。先進各国ではそう「人口減少」という国の存続として致命的な問題に至っているところはないのでは・・・?

 

武器輸出OKにして軍事費は右肩あがり、戦争に行ってドンパチできる国にしてそれを使ってまた他国に買ってもらう・・・まぁいわゆる経済活動の一環といえばそうなのでしょうが、結構お下劣です。

この国はいつからそんな国になっちゃったのでしょう。

また、会社を創立して儲かっちゃった人ばかり「偉い!」と囃してそのビックチャンスをモノにした人達と同じ道を歩むことこそ常道、勝組と称して皆が羨む・・・

金儲けのためなら人を蹴落としてでも、また時に命を奪い取っても自分独りの快楽のために行動する人の心の傾向。

 

まぁ、あと〇〇年?もすれば戦争をしに行きたくともできないくらい、人は居なくなるでしょうから・・・。それもまたヨシでしょうか。

子供が馬車馬のように働いて年金を納めて、不遇の老後を迎える図あるいは紛争地域に駆り出されて野山で骸となること想像すれば「子供はいらない」と考える方もいるかも知れません。

 

さて室町幕府伊勢家といえば政所執事の世襲家で、伊勢盛時(宗瑞~北条早雲)出自といわれる名家です。

江戸期になってからは旗本として招聘され「有職故実(ゆうそくこじつ)」家として続きました。

その伊勢家に伊勢貞丈(1718-1784)という人がいますが、かなり面白いというかまさにその先見の明を感じさせられる文言があります。この史料は先日の藤田覚先生の講習会にて配布された史料にあったものです。

 

利益主眼、富貴第一の生き方について

「ある人いわく、今五十年も過ぎたらば日本の風俗変じて阿蘭陀の風俗にならんかという、その故如何問いしにいわく、阿蘭陀には聖人の道渡らざるによりて、徳義を貴ぶ事をしらず、ただ深く思慮をめぐらし貨財の利を得て富貴を致す者を賢者として貴ぶなり、今日本人情風俗、半ば変じたり、ついにはまったくなるべしという」(伊勢貞丈 「安斎随筆」上)

 

その頃、海外流感化されるといえばお付き合いをしていた阿蘭陀(オランダ)に限られるワケですが、今の「欧米化」と同様の意味ですね。そのことの警鐘を伊勢貞丈が記したというのがこちらなのですが、それから300年弱、まったくもってその通りの様です。「昔の日本人はよかった」・・・聞き古された言葉ですが、やっぱりそうですか・・・

 

そしてこちらが「銀骨の御文」。蓮如さんのお馴染みの「白骨御文」のパロディ版?。

鉱山の開発(カネ儲け)を騙って資金を集める「山師」の横行を皮肉っているものと。

経済活動を吹く「山師」の躰が現代も横行していますね。

 

「白骨御文」(五帖-十六)に馴染んでいる方でしたら笑うところです・・・。

 

石川県立博物館

 

「夫れ人間の不仕合なる相を、つら〱觀ずるに、凡そ實なきものは、銀山初中(シヨチウ)終、魔のわざの如くなる旅人なり。されば未だ萬貫のかねを掘り出したりといふ事をしらず、實正しりがたし。今に至りて、誰か百目の灰吹をたもつベきや。我や先き人や先き、山さけいづるとも知らず、又いでん共知らず。おくれ先きだつ人は、元の銀すゑの人の贋吹よりしげし。あしたには當難ありて、タベにははや立ち行く身也。すでに公儀のはげしき風來りぬれば、則ち二つの穴忽ちに閉ぢ、一つのかねづる長く絶えぬれば、吹屋空しく變じて、旅人の姿消え失せぬ。土かひの鼻毛立あつまりて、歎き悲しめどもさらに其の甲斐あるべからず。是非もなきことなればとて、山小屋に至りて見分となりぬれば、から土のみぞ殘れる。あはれといふも愚なり。されば人間のはかなきこと、慾と智惠との境なれば、誰の人もはやく、商賣の一大事を心にかけて、情を出し申すべきものなり。あなこひし〱。」

 

昨日は久々冷えましたがそういう時は富士山がキレイ。

歳を重ねてだんだんと富士山が・・・。

ワンちゃん連れの檀家さんと意気投合して滝堺城のある台地へあがりました。

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コメント: 2
  • #1

    小山昭治 (木曜日, 29 12月 2016 09:40)

    今年一年ありがとうございました。一日の始めにこのブログを見ることが楽しみです。
    やっと仕事が何とかなりそうになり、時間が出来るかなーと言ったところです。
    時間は己が作る事とは言え、今年は歎異抄を読んだだけ。
    何とかお文を読みたいと思っても思うだけで心に余裕がありませんでした。
    暇があったら、時間があったら・・・では永久に読めませんね。
    今年もあとわずか、体を大事にお正月をお迎えください。
    私は30K夜間ハイクです。いやになっちゃうけど年越し行事です。

  • #2

    今井一光 (木曜日, 29 12月 2016 10:24)

    こちらこそありがとうございます。
    30K夜間ハイクは毎年恒例行事になっているイベントですね。
    私でしたらへろへろになって次の日に堪えそうですが、その達成感はありそうです。
    引率に神経をすり減らすところが辛いように感じます。
    楽しんで行って来てください。
    またよろしくお願いいたします。
    大晦日の鐘撞もお待ちしています。