「相良の健啖(けんたん)」 NO.2 松魚(カツオ)

食欲が旺盛で好き嫌いなくよく食べることこそが健康に繋がることはわかります。また健康でなければ「食」というものに気持ちが向かいませんね。

たくさんの病で苦しむ人たちが「食べる」ことに興味をもたなくなり食が細くなる、あるいは食べる事すらできなくなる様子を見てきました。

 

私はその「食」こそが人間の望む一番の「幸福」だと思います。

我が国戦国期から江戸期に継続的、断続的に頻発した地球の寒冷期間と水害等で慢性的な飢饉が発生しそれらの状況が流浪者を多発させて不満分子となった彼らが爆発したのが徳政一揆、殆ど同時期に発生した念仏衆の爆発が一向一揆というくくりでしょうか。ちなみに今、温暖化が騒がれていますが、地球の歴史からすれば寒冷にシフトすることもありますよ。ひょっとすると今言われている温暖化は一時的なのかも知れません・・・

 

民衆の爆発は名前は違いますがベースにある不満は同じでしょう。

まぁイメージとしては「徳政一揆」は馬借、問屋、問丸に百姓が都市部での土倉、酒屋を襲撃し、「一向一揆」は地方農村で各施政者に向かって反目したという感覚ですが、どちらも際立って「喰えないこと」への非従順と反目というところは共通です。

 

「食べる事ができる」ことは本当に幸せなことです。闘争して人から奪ったり殺したりしなくて済むからです。

現代人は溢れかえった「食物」の摂取オーバーによって各種の病魔を惹起し逆にそれらと闘うようになってしまったというのはまさに皮肉の一言です。

美味しく食物を頂いて、ほどほどのところで(八分目)やめる。

本当に大切なことです。

 

さて、標記「相良の健啖(けんたん)」は蕉園渉筆から記しましたがその「健啖(けんたん)」が「好き嫌いなくおいしく食べる」ことです。

そちらに並べられた食べ物のうち1番がまず馬鮫魚(ばこうぎょ

  鰆)でNO.2が松魚(カツオ)でした。

今はそれが逆転しカツオが断トツに口に親しみある魚と昇格していてそれが何処よりも遠州人がカツオに口が肥えた県民といわれている理由です。私の周囲にも「うるさ方」はかなり。

カツオ→「勝男」で武将に好まれた縁起物の食物でもあります。

 

漁業に関しても資源の枯渇と近隣他国の「先獲り」によって日本の漁獲高が低下するなどイイお話を耳にしなくなった昨今です。太平洋を回遊して日本の近海にやってくる前に南の海の段階で一網打尽にする漁をしますので、それを待っている日本側の漁の収穫が減るのは当然。

 

日本の伝統的漁法といえば「カツオの一本釣り」ですね。

資源の維持にも繋がっていることから、この漁法には国からテコ入れが図られています。

こういった長期海洋滞在(拘束)型の職種には若い世代が集まらないという悩みがあるそうです。よって人員不足はインドネシアあたりからの研修生(名目?)を3年間限定(法定のよう・・・)で雇用して急場をしのいでいるというのが現状とのこと。

その3年間→5年間へ改定されたという情報もありますが、もはや日本の若人はこの手の辛い職場から離れる傾向があります。

 

地元の高校での就職先NO.1といえばスズキ自動車ですが、数年前までは割り当ては3名程度と競争率が高く結構狭き門。

ところが今年は会社の方でも人材確保が難しくなっているようで採用枠が大幅にアップされていたのですが、高校生の方では夜勤がある仕事は敬遠ギミ、就業体験の段階で嫌悪傾向が芽生えるらしいですね。

では何処がイイの?と聞けば最近は「携帯電話屋さん」と返ってきたと教師がボヤいていました。

 

画像は御前崎では少なくなった遠洋カツオ1本釣りをしている日光水産の新造船「第百十一日光丸」。出来立てホヤホヤのピカピカ、清水で進水、艤装が終わって会社のOBの皆さんのお出迎えのもと御前崎港入港の図。

11月28日土曜日は御前崎港にてお披露目会が開催されるようで、船内立ち入り可能。

建造費十数億円の殆どはお国の支援(水産庁の「もうかる漁業創設支援事業」)といいますので、半公共事業ということでしょう。