マンション計画のブーイング 下鴨神社 聞かじり 

古都京都内にあって、なお古さ、立地性も抜群、なにより著名な賀茂神社。神社系はあまり足が向く機会の少ない小生もこの神社だけは見ておかないければいかぬと思って散策を試みました。

立地的に思うに2本の河川が合流して1本になる鴨川の、そのまさに合流点中側に位置していますので、城好きからみれば絶好の平城立地の如くに見えます。そしてまた京都市内の町うちという好立地(場所はここ)の神社は京都の人々のさりげない日常的な参詣の場でもあるのでしょう。


私は新しげな建物より古い建築物が好みですので、あの朱色の建築物には馴染めませんが、人気の少ない森の中(糺の森)がいいですね。原生林といいます。

しかし境内は平日でしたが何組もの結婚式が催されているようで正装した人や地元人、観光客風、色々な人たちで溢れかえっていました。

森の中の境内に引きこまれたであろう小さなせせらぎの音は地元の人たちにとって散策等には一番でしょう。とても贅沢な場所ですね。

そのせせらぎには橋が架かっていて神社東側に隣接した住宅地がありますが、そちらの閑静な住宅地へと繋がる小道があります。古くは下鴨神社の神官がその辺りに住まわれていたそう。現在そちらの区画に住まわれる人たちのショートカットにも使われているようでした。


ホントは「静かな境内の森」を見に行くなんてことはとんだ私の詭弁ですね。我ながら嫌になります。

実をいうとこの神社、今春あたりから立ち上がった「ちょっとした紛争」を抱えていて、そっちの方(いざこざの現場)を見てやろうというのが私の第一義。


それは神社がこの境内、森の中に和風高級マンションを8棟(107戸)建てるという計画をぶち上げて着工が今年の11月であるということでした。8000万円/年の収入が神社側に入るという皮算用とのこと。まあこれは、私のような何もわかっちゃいないかもしれない坊さんからいえば「もったいない」とつい思ってしまう21年周期の「式年遷宮」(予算30億)のための益出し作戦だったのでした。


問題は世界遺産指定の神社であってその境内に「マンションを建てる(稼ぐ)」ということで、前例は無いことですし、なし崩し的にそれが強行されると京都の寺社境内はマンションだらけになりかねません。

要は京都の街並み含め色々な面でその良さが毀損されるのではないかという危惧の念から反対意見が上がっているということでした。


それにしても多額の費用のかかるアレ、伝統とはいえ私には今一つ理解しかねます。何よりマンション建設というのは一昔前の資金捻出方法でバブリーな感覚、寺社が手を出してしまうというのもいかにも短絡的。土地があるからできるのでしょうが、それだけ首が回らなくなっているのでしょう。そこのところは理解できます。


しかしあの1日のスケジュール10時から15時まで30分おきに計11回の結婚式をフル回転で廻すほどの繁盛振りを目の当たりにしてそのような金欠の体、微塵も感じませんでしたが、やはり21年おきの新築工事というのが重荷になっているのですね。


⑩東側住宅地に隣接する「下鴨泉川亭」。

川端康成が「古都」を執筆した場所として知られ、谷崎潤一郎の「夢の浮橋」の舞台となったとあります。個人の所有(外資系?)となって中はうかがい知ることはできません。


⑪神社北側境界の石塀が倒れ掛かっていますが、もし牧之原市でしたらこれは「指導」の対象ですね。つっかえ棒で急場を凌いでいるようですが、前は道路に住居。よく「危なくてしょうがねぇ」といった声があがらないものです。京都市の管理というものも意外に杜撰なものですね。

拙寺の場合でさえあそこまで酷くなる前に檀家さんにお願いして全面改修したくらいでした。