仏師運慶作 阿弥陀如来坐像他  伊豆の国宝たち

京都国立博物館が12月5日に発表し6日の紙上に掲載されたものが画像①と②。個人の所蔵品だったそうですが何れも狩野派の絵師によるものとお墨付きの品物。

忘れた頃にこのように「ひょい」と個人所有のものが世間にデビューしてくるのは楽しいものです。

 

そして「所有者」というと色々詮索したくなりますね。

骨董好きの嫌らしいところで、ついついそっちの方向も考えてしまいます。

ある方が言っていましたが骨董品の真贋に関して、その出自を聞くそうです。当たり前ですね。しかし第一声はその骨董品の所有者、「あなたは誰」というところが第一義。

 

失礼な話と感ずるかも知れませんが、「貴方の家は何している家?」その品物の時代に「あなたの御先祖様は何をしていたの?」を聞くのです。

その情報をもってその品物がその家に「有り得る」のかをまず判断するわけです。

 

要は大名持ちの刀を縁もゆかりも無い農民が持ち得るワケが無いということでまず、1.盗品 2.偽物 3.前二つの「購入品」を疑いそして 4.稀にホンモノかも、という線をあたるのだそうです。

 

「購入品」と言えば、これも失礼な話ですが、たとえ収奪品で違法取得物であったとしても時間が経って(時効も含めて)、所有権が「ほとんど」その人ものとして主張される場合もありますので、そういう時は「人間そのもの」への不審も感じながら話を聞くそうです。

 

しかし結果良ければすべてヨシではありませんが今回の2点は国立博物館が発表したのですから、立派なものです。他にも時間の経過とともにこういう良品がこれからも出てくるかもなどと言ったら「へそ曲がり」と叱られるかもしれませんね。

 

①画像は「北野社頭遊楽図屏風」(六曲一隻)狩野永徳の次男の孝信(1571~1618)晩年の筆。

②画像は「槙に白鷺屏風」(二曲一双)狩野永徳の高弟の狩野山楽(1559~1635)の筆。

 

さて、昨日お伝えした伊豆の願成就院には昨年6月に国宝指定に昇格した仏像が並んでいます。こちらは鎌倉時代の仏師運慶作です。

私がお邪魔した際は指定直前で阿弥陀如来坐像以外の仏像は東京の国立博物館にて検査なのか修復なのか、「不在」でした。

拝観料金は400円と変わり無しでしたが、まぁ事前にそのように言われて承諾し、これもご縁として阿弥陀様だけご挨拶してきました。

 

⑤木造阿弥陀如来坐像、この仏像に関しては「吾妻鏡」に「運慶が阿弥陀如来像を造像」という記述があり、それがこちらの仏像とのことです。

⑥木像不動明王とニ童子(制吒迦童子―せいたかどうじ 矜羯羅童子―こんがらどうじ)像

⑦木像毘沙門天像

 

不動明王と毘沙門天の体内から、⑧「文治二年(1186.5.3)に北条時政により運慶が・・」という塔婆形銘札が出てきていますので運慶作は疑いの余地は無いのでした。

 

これら国宝級の代物は拝観できても写真撮影はできませんので文化庁等資料キャプチャした画像を貼りつけました。