御軸も経本も破りたおせ 蓮如さん御廟

新しいモノに古いモノ。

「さぁどっちがイイ?」と言われても一概には答えられませんね。それは昔から「女房と畳は・・・」とありますように生活に密着し、「消耗」?・・・前者の場合は「齢」?・・・するものは古いより新しい方がイイということでしょうか。


私は仕事柄歴史(仏教)というものへの関わりが深いため骨董的趣向もあいまって「古いほど価値が出る」という思いに近いところです。書画に軸、刀剣等実際に目利きでも無く所有しているものも大したものでは無いにしろ希望はより古くて味のある品物がイイですね。


先日のお取越しで年配の主人が、御内佛に掛かる如来様に御文箱と御文に付いて、「古くてみっともない」と申し訳なさそうにすることしきり。新調したいとも。

見れば、なるほど御文箱は鼠にかじられたであろう漆の剥げて欠けた箇所、御文は多少の虫食いがありますが、御本尊は殆ど難などありません。見た目ですが大事に使えば「あと100年」と言いたくなるような姿で、当家で使用している御文からすれば断然に新しく感じます。


私は「まだまだ大丈夫、使えますよ」とその言葉を一蹴して、蓮如さんのあの言葉を引き合いに出しました。

これも「蓮如上人御一代記聞書」からです。


「蓮如上人仰せられ候ふ

本尊は掛けやぶれ、聖教はよみやぶれと、対句に仰せられ候ふ」


伝親鸞聖人や蓮如上人筆の名号等は全国的にも数多あってかなりの頻度で目にはいたしますが、軸の掛けっ放しは痛みやすいということもあり「何かの時」以外は大切に箱に入れて押入れの奥にしまいこんでいるということがあります。

気持ちとしては家宝にして伝来していきたいという気持ちが起こるのは当然ですが、「しまいこんではダメ 使ってナンボ」の世界だということを仰っています。


ちなみに本来は、通常の掛軸の場合、梅雨時を避けた年二回程度、一回3~4週間押入れから出して虫干しとして掛けます。

仕舞う時は、「晴れた日」を選ぶことが肝要。

それが確実に実行できれば防虫剤は不要。むしろ雑多な薬剤を混ぜる事によって染み等が出てしまうそうです。


画像は山科本願寺址の蓮如上人御廟所(場所はここ)。

山科御坊の「二の丸」がこの辺りといい、上人を火葬した場所がこちらだと。周囲は土塁、廟は塀に囲まれ、中の様子は④まで。