根菓餅(こんかぺい)と杉盛(すぎもり)

宗派によって葬儀壇の上のお飾りは本当に色々。

真宗でも大谷派(お東)と本願寺派(お西)も違います。

同じ真宗でも地方によって、導師あるいは葬祭場によっても微妙に違います。

どちらにせよ他宗のことについては「まったく知らない」、手前の事は「少し知ってる」程度ですが。

 

 私などは葬儀の壇上のものにあまりケチをつけることはしませんので、先方(葬儀社等)が聞いてこない限り、あまりこれといった指摘もせず、「あるがまま」で式を進めていきます。葬祭場によって変わるといっても坊さんが主体になってどうするかの問題でしょうね。

(「荘厳」だけに厳しくしなくてはいけないところであるとのご指摘はありましょうが・・・)

 

 ただ私の場合、いい意味で「おまかせ」、悪く言えば「放っている」といったところでしょう。それにその際はそう深くこだわるところでも無いこと、でもありますから。

 

 大谷派の壇上荘厳の供物で特筆すべきものは標記、「根菓餅」と「杉盛」の「おそなえ」につきますね。

葬祭場でも最近は色々と勉強されているようで、「大谷派はコレ」というマニュアルがあるのか、以前の様な「無茶苦茶」な飾りは少なくなっています。

 

 「根菓餅」という四角柱の面に「山里海の幸」を三つのスペースを水引(4カ所)で区切って作りそれぞれ思いついた「それ」を貼りつけて行きます。

4カ所の隅の頭には「四枯四栄」の釈迦の古事に因んだ銀色の華(造花)を差します。

 

 先般当葬儀式の際は銀色に塗った四方とその面に飾りを施しました。 勿論慶事には金色を使います。

ちなみに真後ろの面は目に触れることは無いので「工作」は省略しました。

 

 葬祭場ではさすがに同様のものを見たことがありませんが、大谷派の寺では葬儀等にはよく目にします。

お金さえ出せば相当まともなものを作ってくれる専門店があるようですが、大谷派当教区界隈の御寺院さんではほとんど住職が手作りしています。 

 

 私も、いざという時用に、「あとは何か貼るだけ」と事前に用意していたものを今回仕上げました。

何を貼りつければいいかといえば、殆ど何でもOKですね。雑貨屋・スーパーで手に入るもので可。

 

 ちなみに私が貼りつけたものは栗・豆・しいたけ・乾燥豆腐・クッキー・ジェリービーン・マーブルチョコ・昆布・餅等でした。

このあたり、何を貼るかも住職のセンス次第です。

やっぱり色味があった方がいいので選びましたが中央のジェリービーンは映えていました。

 尚、使い回しはできません。勿体無さも少々感じます。

 

 杉盛は完全に私のオリジナルで、「こんなのオカシイ」と笑われても不思議はありません。

本来の杉盛は円筒型に餅を積み重ねた「おそなえ」です。

餅をキレイに積み重ねて自立させることは至難の業ということもありますが、時間的節約と、以降何度も使用できるように餅を使わず日持ちのする固形の砂糖や、白いレゴブロックの様なプラスチックを積み重ねた「似非餅」が流行っています。

 

 現在葬祭場にあったり、檀家さんが知らないうちにセットで買い取ったお飾りがこのタイプです。落雁や砂糖でできたミニチュア版が多いようです。

 

 私は、これを使う機会(他に報恩講と春の法要)は滅多に無いこともあり、餅を貼りつけて積み重ねる手間と終わったあとに餅を食したいという考えから、一つ一つパッケージ(衛生的)された丸餅を円筒形の樹脂パイプの中に詰め込んで自立せています。 

 勿論、法要終了後、婦人部の皆さんなど、お手伝いの人たちに持ち帰っていただき食してもらいます。「おさがり」ですね。

プラより「本物」の方がイイとも思います。問題は餅だけに重たさが半端無く、台を新たに作る等再検討が必要です。