「国盗り物語」は主役の斉藤道三と織田信長それぞれが一国一城あるいは天下を「盗る」(天下布武)ために競い合って登りつめ、そして滅亡していく姿を描いたものでした。
話の中で信長は師匠の道三のことを「マムシ」と呼んでいましたね。
戦国の梟雄と称される人でありその「毒」というものを持った特殊な生き物の名をあだ名に持つことも、まぁわかるような気もします。
騙し討ちに「毒」を使うこともよく聞くことですので、気を許すと噛まれる(毒を盛られる)ことを譬えているのかも知れません。
さて先日、「奥の墓道」と里山を歩いているとアオダイショウが出てきて、しばしの間我らの興味を引いたものです。
まぁ驚いたのはあっちの方で縁石が邪魔して姿が隠せないところ、相当パニッくっていました。
「最近はヘビも珍しくなったものだ」と感慨深く思いながら彼を見送ったのですが、その翌日、地元自宅にいる「奥の墓道」から「玄関にヘビが居て参った」との連絡がありました。
聞くところによると形状・色ともどうやらマムシの様です。
慌てて玄関から追い立てると縁の下に入っていったそうですが、さすがに家の中だっただけに不安になったとのこと。
そこで私は、当山檀家さんの「マムシ」に纏わる伝説ともいっていいほどの話を紹介しました。
これはその地区では非常に有名な話で、私は実際にその当人からも聞いています。
また、相良人の鷹揚さ、呑気さ、人の良さをも表していることから「マムシ」と言うとこの話を想い起こします。
その方は当地在住の女性ですが、ある日野良仕事中にマムシに噛まれてしまいました。
当然に仕事を放りだして病院に駆け込んだそうですが、何と混みあう外来受付を通して順番待ちをしたといいます。
凄いと思いましたね。この緊急時に痛みを我慢して順番の最後に並ぶ謙虚さです。
私なら救急外来に駆け込んで発狂するまでの勢いで大騒ぎすると思います。
その話を聞いた時、まさに相良の人らしいと思ったところです。
その時は噛まれた箇所がみるみる腫れ上がって当人も目が回ってきたことから病院の方で気が付いて何とか対応してもらい、事なきを得たというのです。
驚愕したのはそのあとしばらくたって、自宅で休んでいたところに畳の上まで入り込んだマムシに再び噛まれたということです。
マムシに2度噛まれたという珍事もそうですがその1度は家の中で襲われたということに驚きました。
当時この地区では家の中に泥棒がうろついている話はよく聞くことでしたが、(他に家で襲われるものにムカデもあったりしますが)マムシは相当危険です。
2度目はさすがに救急車を呼んだそうです。
また、別の檀家さんに聞いたのですが、某病院の若い先生に「マムシ」と言えば「何のムシ?」と聞き返されたという「伝説」もあるそうです。
安土城の看板に蝮注意の看板があったのを思い出しましたがハッキリ言って注意して注意しきれるものではないのがマムシの恐怖です。
場所が場所(人里離れた山の中)だけにあのものの襲撃にはかないません。
また、縁の下にマムシが生息しているというのも気分がいいものではありませんね。生活空間を同じにしているということですから。
「墓道」には新たな伝承を期待している旨伝えました。
ちなみに拙寺にもヘビは出ますが今のところマムシに限っては見かけたことがありません。
画像は①が安土城の看板。
以降「マムシ」、斉藤道三と信長に縁のある金華山。
別名稲葉山、岐阜城です。
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