「借用書」とは・・普通にこういうものですが

都庁に勤めるお役人が利害関係人と飲食したり借金したりすることは御法度。それは既定の決まりごと。

しかしそのトップに鎮座される知事様が公然とそれを行っても御咎め無しというのがこのお国の様(サマ ザマ)なのでしょうか。

 

 御咎めというよりもフツーの神経の持ち主であればさっさとお辞めになっているところでしょうが、一旦あの席に着くと執着心も増幅して恥を恥と思わなくなっているようです。

これも「無慚無愧」の態様ですね。

 そもそも政治家に限らず、人間として生まれれば一旦高みを頂けば誰もがそのような道を辿っていく可能性があると思いますのである意味「致し方無いのかな」、という気持ちもあります。

「他人に厳しく、自分に甘く」というのが人間の基本とも言えますからね。

私もそんなものでしょうからお気持ちは十二分にお察しいたします。

 

 しかし、極論ですが政治家は「バレたら責任を取る」ことは最低限必要でしょうよ。

ウラで何か、しでかしておられることは、うすうす承知していることではありますが、それは極秘であって、これからもどんどん秘匿されて表には出にくくなるのでしょうから・・・。

 それができずに保身に一途に走る姿を晒すことはいわば毎度の三文芝居かお笑い劇場のギャグを外した時の失笑の姿。

「ハイそうですか」とあのご説に納得するお人よしはそうはいないと拝察されますしね。

しがみついてでも離れられない権威、利権がそこにあるのでしょう。その辺りは理解できます。

 

 図々しいにもほどがあると吐き捨てたくなるほどの高慢ちきな顔で高く掲げられた「5000」と記された、本人曰くの「借用書の原本」という紙切れには爆笑しました。

 

 口裏合わせによって、急遽慌てて作られたであろう「紙切れ」であることは十分に推測されますが、あれはホンモノ・ニセモノの域を超えた稚拙なあり様を露呈させてもいます。

 

 知事様が高らかに掲げた「証拠」によって「当人罪状無実」と主張するのではありますが、その「無根拠」な書面は「知事借用書」でググっていただければご覧になれると思います。

要はあの書面、「借用書」の躰をなしていないということなのですね。

 

 そして幼稚園児の殴り書き風を直感された方もいらしたかと思いますが、この国ではあの知事様のおつむの程度、コレ程の「化物」というか常軌を逸したもの(あの紙)が「罷り通り、この急場をしのげる」と思われている御当人の浅慮が驚愕に値するのです。

 

 画像はある借用書。ご参考までに。

明治十一年のこの相良というド田舎で発行された正式な「借用書」です。

尚、「借用書が残っている、借用書がある」ということはまず、後年、借金を踏み倒されたか、実際にはそうはあり得ませんが「提供」されたということですね。

ちなみに古文書をあたっているとこの手の借用書は夥しいほど出てきます。

 

 この辺鄙の地で発行されたこの書面を眺めてみれば、そこには何という威厳が感じられることでしょうか。

あの方が鼻の孔を広げて高らかに差し上げた紙切れとは大違いです。先達の「大いなる真剣誠実・真摯さ」を感じます。

 

 まず表題が「借用證券」とあります。

ここでこの書面がインチキでは無く歴とした「債権」であることを主張し、その風格をも備えさせます。

紙の質もそれに相応しく100年以上前の紙であるにも関わらず上質さが伝わって、「それなりのもの」が使われていることが判ります。

筆記もマジック様の「殴り書き」では無く、達筆な毛書。

 

 何よりも当時の幕末から維新のドサクサにも関わらず「法令通り」印紙が借入金にあわせて貼り付けられ、それぞれに割印が押されています。

当然と言えば当然ですが・・・

 そして、「返済期日」(コレ大切なことですね・・)に関して「但此償却期限」を翌年明治十二年から計3回に分割して返済する旨が記されています。

また借人の署名に印、何より「請人」と「証人」を各1名、それぞれの署名、捺印がありました。

 

 知事様が当所「あるかナイかわからない」と言っていた中で突然出てきたあの紙キレですが、本来借用書と借金の関係は、返済した段階で貸人からその「債権証書」を取り返し、後々の混乱を避けるために其の貸人の目前で破って焼却するなどの廃棄がそのならいです。

よって、返済済みにも関わらず古い借用書が存在すること自体が不可思議なことなのですね。

それゆえにトチ狂ったのか今回の急ごしらえの演出が推測できるのです。

何より嘘っぽい発言の時、御仁出演のVTRを見れば明らかですが、目が泳いで大汗をかいています。

 

 もし、借用書のあったことを後世に残すという意図があるのでしたら印鑑の部分に罰点をするか、貸人に一筆捺印を頂かなくてはなりません。

その「紙」を残すことが、後になって第三者の手に渡ることにもつながり、万が一再び請求されてしまうこともあり得るからです。

 

 よって「借用書はあるのか?」と記者会見で問われたなら知事様ほどの御方でいらっしゃるのなら、その記者に向かって「あなたは御存知なかった?借用書は通常返済と同時に抹消消却するものでしょう、当然その場で処分しましたよ。だからありません」と一笑に付さなくてはならないのです。

そして尚、一応参考までにこのような体裁だったと上記の様な姿をしたデタラメの書面を記せば事は足りたのですがね。まぁ悪知恵が働かなかっただけ「かわいい」と云われればその通りです。

 

 しかしあの高らかに掲げた紙切れはいかにも稚拙。

大人が子供の嘘を見抜くようにあの御仁の嘘は見え見えですね。

そういう意味からして知事様不適格と思いますが・・・。

要は最初から返却不要のおカネだったということですね。

 

 印紙税逃れも知事様としても指摘を受けることを思慮しなかったのですかねぇ。

印紙税法違反は当然で「過怠金3倍」として18万円の支払いになるでしょうが、これであっても歴とした「脱税」という脱法行為でしょう。

 知事様には大したおカネでは無いでしょうが、庶民には納税を厳格に取り仕切っている御身、このあり様はまさに「許されざる者」でしょう。

税務・特捜の知事室捜査が待ち遠しい今日この頃です。

次の知事選も楽しみ。静岡の卑屈な一傍観者の所感でした。