敵陣に真っ先に斬り込み、すぐさまに敵兵と槍を合わせて、首を掻き切る(槍玉にあげる)事。

その一連の戦働きこそが侍大将他武者共の一番の手柄です。

最もリスキーな状況ですので大抵は名を成すどころか討ち取られるのがせきのやま。

よって成功すれば周囲も誰がその名誉をゲットしたかに着眼点が向かい、その人の評価も最高位に上昇します。

　腕に覚えのある者たちはいつかは自分がその名誉を預かりたいと虎視眈々願望しているものでした。

「一番」でなくてはダメだったのです。

 

　関ヶ原東軍、福島正則と先陣争いをしてまで初陣の「婿殿」に功名をもたらそうと必死に駆け上がった井伊直政にはそういった考えがありました。

　何故にそんなに気張らなくてはならないかといえば、家康の子息が旗印にあろうが何であろうが、この「先陣」というものに異常な執着を持つ男が隣の陣中に居たからです。福島正則その人ですね。

 

正則は秀吉と同郷で秀吉の数少ない縁者として小姓から可愛がられましたが、司馬遼太郎の「愛染明王」では同じく尾張出身で後に秀吉のブレーンとなった蜂須賀彦右衛門(正勝・修理大夫)、通称小六を通して秀吉の台所住まいの走り使いに入ったとあります。

　彼の初陣、中国攻めの際に蜂須賀からのアドバイスがこう断言しています。

 

『人の一生は、初陣の手柄で決まる。

最初功名をあげれば、「あれこそ勇者よ」という伝説ができ、その逆ならば、のちのち多少の働きをしても、人の印象に残らぬ』でした。

 

　性格は単純で将に戦闘のために生れ出たような気性でしたが

司馬は「この男、単に凶暴人か。怒りっぽくて、異常に名誉心が強くて、思慮にとぼしく、かっとなれば発作的に人を殺す。しかも酒乱である。」

 

現代にあってこのような生き方はあり得ないところですが、傍から見ていれば面白い人間でもあり、ある意味憧れるところも無くはありませんね。

本能だけで生き抜くというか、所謂自分が思う所に突き進む、今では放送禁止用語で私たちの世界では使用が憚れる言葉「気●がい」が付くような変人だったと思います。

人とは違う着眼点と行動はある意味賞賛できるところがありますのでその意味から言えばこの禁止言葉の「気●がい」は大いに的を射ていると思いますし、私自身この言葉は大好きです。

よって戦国武将福島正則の生き方は好感が持てるのです。

 

極論でも無いですが、この福島正則の小山評定での豊臣恩顧筆頭としての発言といい、関ヶ原での活躍といい、「日本の歴史を変えた人」と言っても過言では無いかも知れません。

 

画像は関ヶ原福島正則の陣(場所はここ)。

松平･井伊親子の陣よりも相当(1㎞程度)西方に食い込んでいることがわかります。

この陣には樹齢800年と言われる杉の巨木の威容が出迎えます。

 

下記は久しぶりの「晴れの休日」当家の小姓を引き連れ静波墓園へ。雑草もまたまた生えまくりでした。

海に行っても北の海ではバリバリ放射能汚染水を太平洋に放出(300トン/1日)しているそうで、既に未練無し。

こういう日は外働きが一番です。明日の初盆の法事はクロくて「遊び人」風体となりますが、お許しくださいませ。

拙僧は

「暑い暑いとエアコンのギンギンに効いた部屋にいることほどの恥は無い」と小姓の尻を叩いて外に出させます。

しかし我が意、通じませんね、まったく。

あの者は大うつけでしょうか。

殺し合いの場で無くとも社会に出ればやはり

「一番乗り　一番槍　一番首」の気概は有っていいものです。

要は「気●がい」になって欲しいのですよ。

●=「ち」を取って「気概」「やる気」ですね。

「旗を立てる」とも言いましょうか。