ギャップイヤー 遠回り?  出奔のすすめ 

アメリカのお話。

 「Yahoo!がTumblr買収」の記事が紙上に踊りました。

Yahoo!はお馴染み元祖インターネット企業ですが最近は大挙する新興企業に押され気味。

そこでCEO(chief executive officer  / 最高経営責任者)にGoogle女性エンジニアだったマリッサ・メイヤーを招聘したことは記憶に新しいところです。

 マリッサは2008年『フォーチュン誌』の

「50 Most  Powerful Women」に、最年少選出(今年は38歳)された驚きの人ですが、彼女の今回の選択がTumblrの買収でした。(買収額は最大10億ドル)とのこと。

 

Tumblr(タンブラー)は簡単に言えばTwitterと同様と考えればいいのかと思います。マイクロブログサービスというそうですが日本ではサービスが開始されたばかりであまり私も深く知りません。

あの「アラブの春」という瞬間的人員動員力、いわば大衆への告知周知の力を激烈に見せつけられましたがそれらの媒体がTumblrを主としていたと聞きます

さらに驚かされるのがTumblrのデイヴィッド・カープCEO は26歳。

そして何より彼の「学歴」は「高校中退」です。

「中退」という語彙を当地で聞くと、というか日本全国、大抵がそうですが、煙草、飲酒から刑事事件諸々、校則に反した学生が受ける学校側からのペナルティを想像してしまいます。

また、そうでなく、目的のある自主退学であってさえ日本においてその決断は「人生の遠回り」あるいは「忍耐力の精神に反する」行為として忌み嫌われています。

両親は「石の上にも三年」と将に、さも説得力ありそうな諺を持ち出しては子を説き伏せようと大反対することでしょう。

 

 高校とは言わなくとも大学中退者が起業し大企業として大成した人はアップル社のスティーブ・ジョブズやオラクル社のラリー・エリソンの他、Facebookのザッカーバーグとその共同経営者もともに中退(当初は休学)して会社を立ち上げていますが、それらの人たちを挙げていたらキリが無いくらいです。

アメリカに於いて人間の価値というものに「最終学歴」という形でレッテルを貼るという雰囲気は無意味なのです。

 

 要は「自分をもっと磨くうえでこれでいいのか」という問題意識の上での選択がそうさせたのだと思いますがその様な「向上心」は自分だけでなく突き詰めれば社会への最大なる貢献となるかも知れません。

さて学校を中退するのならば、否、中退するしないに関わらず、入学手続きはするものの最初から学校には来ないで、あるいは休学というシステムを使って、長期間「社会に出てみる」という考え方が「ギャップイヤー」の考え方です。

 

 発祥国イギリスでは「自分を改めて見つめてみる」機会であるとして高卒の段階でその「遠回り」を社会全体が受け入れています。

 社会にそれらのシステムを許容し、それを推進することが何より社会に溶け込みやすく対応力ある人材をつくりあげていくのだという深い認識が必要ですが、最近になって日本の大学と産業界がその「遠回り」について奨励検討を始めたと聞きます。

それらの考え方が日本社会にも浸透しつつありますね。 

  

 一旦就職した会社であっても給料の支払いについては悩ましいところですがそういう意味での休職を会社が社員に奨励することまでも、あってイイかも入れません。

そして退社、再就職も胸を張ってドンドンすべきです。

 自己の将来を見据えて、心を曲げてまで「石の上」に永く留まる愚を捨てて一旦諦めてみることも必要ですね。

 

元に戻りますが、高卒で就職しない人を「プー太郎」といって社会から白い目で見られますね。自虐的にそういって楽しんでいる人もいてまぁそれは社会進出前の事前段階と割り切って色々と体験するのもいいでしょう。

しかし、行き着くところ反社会的行為に手を染めたり、焦燥感に苛まれる子供たちもいる筈です。

 

 お好きな仕事に出合えないのか実際に仕事が無いのかは判りませんが「石の上」の考えを捨てて逆に、とりあえずやってみて「嫌だ、将来設計が立たない」というのならその会社はサクサク辞めて次の事を考えれるというのがスジなのですがね。

それがダメならいっその事どこかのビーチで寝転んでみたら?

イギリスのギャップイヤーの考え方は、「筋道と計画を立てた時間の過ごし方」なのか「ビーチで寝転んで自分を見直してみる時間」なのかと問われたら、後者であると断言していました。

そのように「まともな仕事」に就かなくとも良いというのがその考え方にありますのでよく考えれば「もともと家族に経済的余裕が無くては出来ないではないか」という指摘も受けましょうが、「南の島」であってもヤル気さえあれば絶対に仕事はあります。

そして今は、子供を拘束して家の経済力として期待する時代にはありませんね。

 

私も上記の考え方に「ニヤリ」としたのはかつてバッサリ東急ハンズを辞めて沖縄のビーチで薄給なれど仕事をしたということもあることと、その他幅広い分野の職種を重ねましたが、振り返ればどれもこれも本当に素晴らしい経験だと思っています。

 ビーチがダメならサトウキビ畑の仕事も少々辛いがイイ経験になりますね。

友人の「奥の墓道」も好きな時間を過ごし大学を6年かけて卒業しました。また入社した一流企業も3か月程度で辞めてしまいました。

一生自分を「見つめなおしている」ような仙人のような男ですが・・・。

私も同様でたまたま家が寺だったようなものですね。

 

成瀬正義の人を斬っての出奔は多少意味が違いますが弟の成瀬正一の出奔は「武者修行」。

郎党にヨイショして持ち上げられてぬるま湯の家に居るより他家に使われ走り回る方が残りの人生にいかに重い成果を表すか、普通に考えても判ります。

 

画像は今年初めて咲いたハイビスカス。ハイビスカスにも色々あってまだ茎から葉が出たばかりの臆病者も居る中、この株には早くも盛夏の雰囲気を味あわせていただきました。