嫌いじゃないけど鎌倉

 鎌倉という街を歩くことはその地名からするイメージとは少々違います。
 私の如くここのお隣の横浜市金沢区はじめ神奈川県内在住歴が長くて、鎌倉という地にはかなりの頻度で顔を出している者でも今や相良に籍を移しその流れる時間の中に身を置くことが常となった身には、久々にこの地を訪れてみるとやはりどぎまぎすることが多く感じられます。

 

 それが土日祭日に重なれば、観光客の列と各地よりなだれ込む車両の渋滞そしてその喧騒、縦横無尽に走り追い立てる地元ミニバイクと歩道を歩いていても後ろから急かされる自転車のベル。何しろ人が歩く場所が無いのです。歩道は狭くすれ違いすらできません。特に夏の日差しの強い日はみなさん日傘を差して歩きますのでこれが厄介になります。

ガードレール等も整備されていないところがたくさんあって車道に出ざるを得ないことも多々あります。かといって絶対に車では来たいとは思いません。

殆ど動きませんし、時間と場所によっては停めることもできません。

観光地にはつき物となったあの「人力車」も渋滞の要因になっているのではないでしょうか。

まったく辟易とさせられます。

 

 日ごろ山城歩きで慣れた足腰には精神的緊張感もあいまって相当ダメージが来て疲労度もかなりのピークに達してしまいます。
近江の山城歩きでは絶対に出なかった足の異変等の出現は上記の各種ハードルとコンクリートとアスファルト路の歩行が重なってのことだと思います。

その時は左足股関節付近の筋肉が攣ってしまい、一時的に歩行困難になったほどです。回復も早く事なきを得ましたが、体力の低下も含め、色々と考えさせられます。

そのような理由から今の鎌倉は「心静かな散策、歴史豊かな街にたたずむ墓標、のんびり歩く休日」などというイメージとはまったくちがってしまいます。

 

  鎌倉の成り立ちを考えれば、まさに海と山に囲まれた天然の要害であり城砦都市といっても過言ではありません。
中心(鶴岡八幡宮)に向かう道は細くて曲がりくねり、三方は山に囲まれていますので山を切り開いた「切通し」が各所に設けられて多くの進入を阻みます。

建長寺裏山から金沢文庫方面に抜ける山道(現在は天園ハイキング道)などは尾根伝いに堀切状の構造物の遺構も見受けられ、まるで山城です。

 

そのような地形に古くからの街並、閑静な高級住宅街という歴史の重厚感のイメージの「古都」に人は集まって山を切り崩して住宅地を広げて現在の如くの人口密集地となったことも上記のような状況に拍車がかかっていることは確かです。

 

今、鎌倉は来年6月に世界遺産登録を目指しているそうですが、地元住民はかなり冷めているとのことです。

関係ない立場の感覚ですがホントにあれ以上人が来たら地元の商店街以外の人はクサクサしてくるでしょうね。