誾千代 (ぎんちよ) 姫  

先日もお知らせした通り次回のNHK「歴史秘話ヒストリア」に登場する誾千代(ぎんちよ)姫について小和田先生のブログで紹介されています。内容は番組を見ていただくとして・・・

 江戸時代には「御世継」といって各家男子の誕生こそが御家の安泰と切に乞い願われました。徳川二代将軍秀忠妻のお江(おごう)も姫さまの誕生が続いて~完子(父は豊臣秀勝)→千姫(以下父は徳川秀忠)→珠姫→勝姫→初姫。前回大河ドラマでは「次こそ若君」などと「春日の局」に尻を叩かれてお江が特訓させられていましたね。(最初の旦那さん佐治一成との間にも二人の姫さまがいたという説もあります)

それだけ姫さまばかりの誕生が続いて男子の誕生はさぞかし飛び上がるような喜びであったでしょう。

 現代でも女の子だけの誕生で男子の誕生が無い場合や男の子が早世してしまった場合等、家そのものや家業の継続について「難しい」という方をお見受けしています。中には長女で嫁入りし、姓は受け継げないものの父母の墓は建碑して代々守っていくという方もいらっしゃいますものの、現状は、「その時は代々の墓地を改葬し合葬墓へ」という家がとても増えています。

 名跡にこだわらず「今を生きる」ことこそが「いのちを生かす」うえでの至上命題でもあり「その時」のそれぞれのお考え方の違いはあって当然ですね。

世の少子化はそういうところにもじわじわと影響を与えています。

 さて、世の「男子の誕生」絶対願望の中、男子の誕生は「残念!!」であって、ひたすら「姫の誕生」を願った家系があります。

まったく後世の「お江」とは逆です。

この家は当流御開祖の出自、日野家です。

京都で「先の戦争」と呼ばれる「応仁の乱」(京都洛中を焼野原と化した戦いといえば、東京市中を灰燼と帰した東京大空襲の如き戦争行為はかつてのその時代まで遡るという意味~米軍の文化財への配慮から空襲はしなかったという結果です)を誘発した後世悪女といわれる日野富子がお馴染みです。

なぜ「姫さま」でなくてはならないかといえば、室町将軍の「正室はココ」という暗黙の習わしが出来上がっていて、当然にこの家に生まれた姫が室町殿(将軍)の正室に嫁ぐというレールが敷かれていたからです。日野家は将軍家に姫を出すという名誉と権力を維持するための道具として姫が重用されたワケで、姫でなくてはならない理由があったのです。

ちなみに日野一門から嫁いだ姫さまたちを記すと・・・室町幕府三代将軍足利義満の正室の日野業子と康子から始まって、四代義持に栄子、六代義教に宗子、八代義政に前出の富子、九代義尚、十一代義澄の妻です。義政の継嗣と目された弟義視の正室も日野勝光・富子の妹でした。

一方、誾千代姫は世継ぎが姫ひとりという状況で男同然に家督を相続した姫です。番組での誾千代姫の勇士が楽しみでございます。