勝虫と本多忠勝

本多平八郎忠勝像 岡崎城公園
本多平八郎忠勝像 岡崎城公園

高天神で勝虫を見ましたがこれからの季節、境内にもたくさんやってきます。

勝虫の代表は「オニヤンマ」。

大きなグリーンの目と黒に黄色い模様で10cm前後になる日本で最大の蜻蛉(トンボ)です。子供の頃にこれを捕獲するにあたり、あまりに美しい「オオモノ」に対して網を持つ手が震えたものです。

「肉食系」でハエ蚊等の害虫を食してくれます。

そして驚愕なのは繁殖期の雄の性格です。「動くもの」を見れば牽制しあるいは追撃します。

何でもかんでも躊躇して結局は何もせずに好機を逸することの多い我々にとって見習うべき点ではありますがあまりにもその「突撃」は命知らずで無謀なのです。

特に高速で回転するものに体当たりするという性質は同類の者たちへの行為であって今の人間たちの操作する機械の動きに対して彼らの進化は付いていけていません。「そんなことは知るか」というが如しです。

 私はこの季節、雑草を刈るに「刈払い機」なるものを導入していますが、悩ましくも彼らはその回転部分に突進してきます。特に円盤状のカッターよりもワイヤを回転させるものによく反応し無謀にもその回転するナイロンワイヤに突入し結果バラバラになって果てるのでした。空しいこととわかっているのは人間だけで彼らにとってはいたって真面目な行為なのです。

よって私は刈機作業中に彼らが刈機の前でホバリングしたら機械を停めて様子を見ることにしています。 彼ら1個体で食するハエ蚊の数は膨大なものに上るでしょう。彼らの喪失は人間の生活環境をより以上劣化させてしまうのです。 

 

 戦国武将で「勝虫」と言えば本多忠勝ですね。名前も「ただ勝つ」。

長さ6m。刃長43cm以上という大槍はとても有名であまりにも切れ味が良かったのか刃の上に停まったトンボが「すっと」真っ二つになった逸話からその槍の名が「蜻蛉切」と呼ばれたといいます。

忠勝の性格もまさにオニヤンマそのものです。

家康の数々の戦いに漏れなく参加してかすり傷一つ負わなかったという話もあります。

そういう勇猛果敢で無鉄砲な性格は、安定期に入ったときに周囲からは煙たがられてしまい、無用の烙印を押されてしまうのでした。